出来ないことあるの?/爆豪


この男は見た目や言動とは違いやればなんでも出来る男である。

運動、勉強、さらには料理まで。人は見かけによらないとはまさにこの事。


「爆豪少年になにか出来ないことがあるのか問いたい」

「突然なんだよ地味女」

「クラスメイトなんだけど、名前ね」

「それくらい知ってるわ」

名前はなら名前で読んでよ、というが地味女黙ってろと返された。
やれやれとため息をつきながら話を戻す。

「で、爆豪少年に出来ないことってないわけ?」

「ねぇわ」

「すごい自信」

マジかよ、ないのかよと感心をする名前にどうでも良さげな爆豪。
名前はどうしても爆豪の出来ないことがあれば良いのに、と色々考えている。

そして思いついた。

「ねえ爆豪少年」

「なんだよ、しつけぇぞ」

「キスして?」

「ア゙ア゙??」

「キースー」

なんでも出来る爆豪少年だもん、出来るよね?なんて小学生並の煽り。
名前はただこの男に出来ない、と言わせたかったのだが流石爆豪と言うべきか。

爆豪は名前の頭を鷲掴み自分の方へ引き寄せキスした。
キャラに反して優しいんだな、なんて思ってしまうくらい優しいそれに名前は驚きを隠せない。

「俺に出来ないことなんて存在しねぇんだよ」

「そ、そうだね」

まさか本当にキスしてくるとは、これファーストキスなんだけど、と言いながら名前は顔を赤くする。

「なら責任とってやるよ」

「責任とは」

「付き合ってやるっつってんだよ」

「遠慮する」

「テメェ…」

責任なんて取らなくていいよ、イケメンのキスとか役得と思っとくからと名前が言えばわかりやすいくらいに彼は不機嫌になる。

「付き合ってやるっつってんだよ」

「だから遠慮するよ」

「言い方かえてやるよ、お前はもう俺のもんなんだよ」

「なんですと」


こいつはジャイアンか、と思いながら爆豪を見る。

「俺と付き合えば将来安泰だ、良かったな地味女」

名前はああ、私はなんて男にちょっかいを出してしまったんだ、と後悔をしたのだった。
そして数年後、彼らが結婚したのはまた別の話。



2016.5.19


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