1周年記念! | ナノ


遠いとおい昔から我が家につたわる子守唄



人間と怪獣の果てしない戦いが終わると同時に世界は平和と復興への道を歩み始めた。




「おはよう、エア」
『……おはよう。そして何でまた私の隣で寝てるの、ローリー』

けたたましい警戒警報に起こされることがなくなった朝。
ベッドに横になっていた私の隣には上半身裸のローリー・ベケットがいた。
部屋のドアロックを厳重にしていたにも関わらずに毎朝そこにいる彼は平然と眉間に皺を寄せる私を見て笑っている。

「おいおい、覚えてないのか?昨日はお前が俺をここに連れ込んだんだろ?」
『え…!?なんて言うわけないでしょ、ローリーのバカ!』

起き上がってクッションをローリーに向かって投げつけ、それから床に落ちていたシャツも彼に投げつけると同時にドアをノックする音が聞こえた。
癖のあるノックの仕方をする人を1人しか知らない私は当たり前のようにロックを解除してドアを開け、満面の笑顔で彼に挨拶をする。

『おはよう、ヤンシー!』
「おはよう、エア」

ラフなタンクトップに軍から支給されたズボンを履いたローリーの兄であり、もう1人の幼馴染でもあるヤンシー・ベケットが微笑みながら私の頭を撫でる。
そして私の後ろに自分の弟を見つけた彼は小さくため息を吐いた。

「また勝手にエアの部屋に入ったのか、ローリー」
「兄貴、変な言いがかりは止めてくれ。エアが入れてくれたんだよ」
『起きたばっかりなんですけど…』

小さく反論した私の頭をパシッと軽く叩いたローリーがシャツに腕を通すのを見たヤンシーが私にも着替えるように促してくる。

「そういえば、エア。お前また胸デカくなったよな」

着替える途中でそう言ったローリーをヤンシーが粛清するのを見て笑い、それから彼らと3人で部屋を出た。

「今日はイェーガーでロスの復旧作業をするそうだ」
「ヘェ、チマチマした作業じゃねぇなら何でもいいぜ」

ロビーへと向かいながら話すローリーとヤンシーはイェーガーのパイロットで、怪獣と戦っていたときは常に命を危険に晒していた。
数多くの犠牲の中で唯一勝利を背にしていた
2人がもしも帰って来なかったらーー、そう考えただけでも、私には死を迎えることよりも怖かった。
ふと気づけば、いつの間にか立ち止まっていたらしい私の左手をヤンシーが握り、ローリーが右手を握りしめていた。

「エア、早く終わらせて飲みに行こうぜ」
『……うん!』
「どうかしたのか、エア。大丈夫か?」
『だ、大丈夫だよ!ローリー、ヤンシー、今日も1日頑張ろうね!』

私に微笑んでくれるベケット兄弟と共に生きていける世界を守りたいと、何故だか無性にそう思った。





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