1周年記念! | ナノ


ああ、ぼくの麗しきダイアナよ
気高くあれ、美しくあれ、
高貴であれ、尊くあれ、
きみはぼくの女王だ。

diana




『承太郎…、この暑さはどうにかならないのだろうか。暑くて死んでしまいそうだ』
「お前が暑さだけで死ぬわけがねぇ。……飲むか」

承太郎から手渡されたペットボトルの水を喉を鳴らして飲み干し、再び彼に体を預けてずり落ちそうになっていたサングラスを押し上げた。
憎たらしいぐらいに私を照らしつける太陽を見上げて文句を言う元気もない私はただ承太郎の学ランの中に身を包んだ。

「体調は良くないようじゃの、エア」
『……ジョセフ、お前にはこれが良いように見えるのか』
「いや、全く見えんのぉ」
『だったら聞くな!これ以上私の機嫌を損ねるのならば貴様でも殺すぞ!』
「落ちつけ、エア!ジョースターさんもちょっかいを出すのは止めてください!」

アブドゥルに笑いながら謝るジョセフに余計にイライラしてしまう私を隣にいる花京院が苦笑しながら見ていたが、それよりも突然襲いかかってきた睡魔に負けてしまった私はそのまま深い眠りに落ちていった。
承太郎が「やれやれだぜ」と呟く声を耳にしながら。



私は人間ではなくダムピールと呼ばれる吸血鬼と人間の混血を持つ化け物だ。
一定の年齢まで成長すると老化がピタリと止まり、夜になると細胞が活性化して再生能力が増幅するだけではなく並の損壊では殺傷出来なくなる。
だが、不死ではない。ーーそれが、ダムピールだ。
私以外のダムピールたちは自らを破滅へと導き、そして死んでいったのだ、と、生まれて間もない状態だった私を救ってくれたジョセフから後に聞いた(血を求めて仲間を殺すとは…、な)。
私はジョセフに拾われてからは空条家で暮らし、幼い頃から共に育った承太郎とは姉弟のような関係を築いていた。
それは承太郎だけでなく、優しい愛で私を育ててくれたホリィに対しても例外ではない。
母である彼女の命が危ないと聞かされたときのあの感情は忘れないだろう。

「それほどまでにこのDIOが憎いか?」

神に祈りを捧げる神父のような声が聞こえた瞬間、私の意識は現実に引き戻されたような感覚を感じた。
バッと勢いよく起き上がって周囲を見渡す。
私は確かトラックにいたはずだ。しかも承太郎の学ランの中に。それなのに、何故ーーこんな果てしない闇の中にいる?

「私がこんなにもお前を欲しているというのに…寂しいじゃあないか、エア」

目の前に現れた男を見た瞬間、思わず顔を歪めてしまった。
それでも嬉しそうに口角を上げる男かスルリと私の頬を撫でた、その刹那。
私の鋭利な爪がジャキンッという金属音と共に伸び、奴の胸元に突き刺さったーーはずだった。

「このDIOを殺そうとするとは…、気が強いな」
『な…、んだと…!?』

目の前にいたはずのDIOが私の背後にいた。
奴の胸元に突き刺さる感覚をしっかりと感じたにも関わらずに、だ。
振り返るよりも早く腕を掴まれ、身動きすら出来ない私の耳元でDIOが囁く。

「ダムピールとやらは厄介だな。ろくに吸血をしていないのだろう?こんなにも細くなっているとは…」
『黙れ!!』

抵抗する私にただ笑うDIOが再び言葉を紡ぐ。

「エア…、私と共に生きようではないか」
『……や、止めろ!!私は貴様と同類になど…ッ!!』

その言葉が何の意味を表すのかを瞬時に悟った私は慟哭したが、ズプリ、と首筋に牙が突き刺さる。
瞳から溢れた涙と悲痛な叫びと共に、脳裏に浮かぶ承太郎たちの姿が消えていくのを感じた。

「エア…、お前にこのDIOの全てを与えよう…」

代わりに体全体を使って脳内に入り込んでくるDIOの声が、何故か、愛おしいとさえ、思った。




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