〈エア、オプティマスを見ろ。お前のことばかりを考え過ぎて小さくなってしまったじゃないか〉 『それ絶対違うよね!人のことを考えただけで小さくなれるならやってみたいけど!自分のミスを隠蔽しちゃダメだよラチェット!』 〈やってみたいのかよ〉 『お黙りなさいヒューマノイド化したら無駄にイケメンになっちゃう副将さん!』 〈褒めてんのか?貶してんのか?〉
ディエゴガルシア、NEST基地。 軍医という名のドSラチェットの足元には縮小化したオートボット総司令官という名の天然の塊から出来ているオプティマス・プライムがいた。 人間で表すならば2歳、3歳の子供の身長しかない彼は黙ったままプルプルと小刻みに震えていて、それはどれだけラチェットの実験が怖かったのかを物語っている。
〈しっかし、さすがラチェットだよな〉 〈あのオプティマスがこんなに小さくなるとは…〉 〈何だ、お前たちもやってみたいか?〉 〈〈遠慮します〉〉 『えー、ジャズもアイアンハイドもやってみたらいいのに。可愛いと思うよ?』 〈ラチェットを責めたのはどこのどいつだ!…ったく、他人事だと思いやがっ〈ジャズ、私のエアによくもそんなことが言えるな?〉ぎゃあぁああああ!!〉
泣き叫ぶジャズがラチェットに強制連行されていくのをアイアンハイドと共に不安げに見送ってオプティマスに視線を戻そうとすると、腹部にすさまじいタックルを受けた。
『ぐぇぶ!』 〈エア!エア!〉
タックルをしたオプティマスがキラキラとカメラアイを輝かせながら見上げるその仕草はーー、はっきり言って罪だと思う。
『……か、可愛い!!』
屈んで思いきり抱きしめるとヒューマノイドと違って彼ら特有のボディとその冷たさを改めて感じたけれど、私には関係ない。
『アイアンハイド、もう持って帰りたいぐらい可愛いんですけど!どうしよう!』 〈……エア、レノックスがどうなるかを考えてくれ…〉 『あ…、た、確かにそうだね…』 〈エアは私を持って帰りたいのか?〉 『あ、ううん、違うの。今のオプティマスがそれぐらい可愛いってことだよ』
私の胸に頭を預けるオプティマスが首を傾げる。
〈可愛いのはエアだ。そう思うだろう、アイアンハイド〉 〈な…っ!?お、俺に聞くな!!〉
私と視線が重なると同時にボシュン!と勢いよく排気したアイアンハイ ドはそのまま出て行ってしまった。
『オプティマス、今日のお仕事は?』 〈軍事演習がいくつかあったのだが、レノックスには何もするなと言われた。オートボット総司令官としてそういうわけにはいかないと言ったのだが、聞いてくれなくてな〉
ジャズとは違って別の意味で泣き叫ぶレノックスさんに心の中で同情する。
『それじゃ、皆の邪魔にならないように2人でお話しよっか』 〈いいのか?〉 『もちろん!私、オプティマスに会いに来たんだよ?』
忙しくて中々会えなかったでしょ?と笑った私にオプティマスが嬉しそうに抱きついてくる。 それを見た任務帰りのバンブルビーが妬くなんて想像出来なくもなかったけれど。
〈(ズルいぜ!)(私にも癒しを!)〉 〈ダメだ、バンブルビー!エアは私のものだ!〉 『いた、いたたたた!腕が千切れちゃうあああああ!』
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