エアはバンブルビーの相棒であるサムやあのオネェチャンと同じ人間だ。
ただ、オネェチャンとは違ってセクシーって感じじゃなくて可愛い小動物的な感じで、俺だけじゃなくあの堅物アイアンハイドまで意識してる存在だ。
だからなのか、俺たちはエアに依存してる。
そりゃもう中毒なんじゃないかっていうくらいにな。


〈やぁ、サム、ミカエラ。久しぶりだな〉
「こんにちは、オプティマス」
「ハイ、久しぶりね」

NEST基地本部にサムとオネェチャンがバンブルビーに乗って久しぶりに遊びに来た。
俺たちが総出で二人を出迎えるがサムたちは俺たちの目的が分かっているのか、オプティマスの挨拶に返事をしながらも苦笑している。
ふと、一人存在が足りないことに気づいた。
と、同時にビークルモードからロボットモードへとトランスフォームしたバンブルビーがラジオを使って叫んだ。

〈(女王様はどこへ行った!あぁ、我らの太陽、女王様!)〉

叫び終わったバンブルビーがぐったりと項垂れると同時にオプティマスがギュルン!と盛大に電子音を鳴らした。

「エアなら今日は家の用事があるからって来てないわよ」
「行きたいんだけどどうしても外せないんだって。…残念だったね、皆」

オネェチャンとサムの言葉に反応したラチェットが〈……そうか〉とかなり間を開けて答え、すぐにレノックスへと通信を入れた。
その傍らでアイアンハイドがしゅんと肩を落とし、バンブルビーは未だにわんわんと叫んでいる。
オプティマスは呆然と立ち尽くしたままだった。

「ジャズは落ち込まないの?」
〈……エアが来てないからって明らかに落ち込んでたら来てくれたオネェチャンたちに失礼だろ?〉
「あら、そう言う割にはイライラしているみたいだけど?」

相変わらず鋭いオネェチャンに肩を竦める。
エアが不在のまま、サムたちはラチェットの通信を聞いたレノックスたちと共にオートボット格納庫を後にした。


それからの俺たちはいつもの俺たちじゃなかった。
ラチェットはエアに見せようとしていた新しい実験結果を見事に燃やした挙句に治療ミスをし、アイアンハイドは手入れをしていた自分の武器が暴発したおかげで大怪我を負って自らラチェットの実験体になったり、バンブルビーはバンブルビーで泣き叫びながら狭い基地内をビークルモードで走り回り……。
これがあのオートボットなのか、と副官らしいことを考えてみる。
一番酷いのはオプティマスだ。
今日中にまとめなければならない書類をビリビリと破りながら〈エア…、何故来ないんだ。次に来た時には一緒にお出かけしようね!と約束していたのに〉とブツブツ呟き、最終的には壁を殴り始めたからだ。
バラバラと壁の残骸が降る中、その始末書に追われるであろうレノックスが泣きながら叫んでいる。
勿論それを見ていたサムたちがげんなりとした表情を浮かべているのにも気づいた。

「ホント、エアがいないとダメなのね」
「ははは…」
〈そう言ってくれるなよ、サムだってオネェチャンがいねぇと嫌だろう?〉
「ま、まぁそうだけど…」

俺たちにとってエアは「愛しい」存在で、誰にも渡したくなかった。
人間じゃなくて同じトランスフォーマーだったならと思ったこともあるが…、それはそれで違う。
人間のエアだからこそ、なんだろう。
一緒に話して一緒に笑い合って、あんなにもスパークが温かくなるのは。
基地内にプルルル、と電子音が響いた。
それはオネェチャンの携帯からだったらしく、耳に押し当てた携帯から聞こえて来た声にオネェチャンが小さく笑った。

「ハイ、エア」
〈〈〈エアッ!?〉〉〉

あぁ、やっぱり俺たちはエアに依存している。
本人がいないのに名前にまで素早く反応するなんて。


(用事が終わったからオプティマスたちに会いたいんですって)
(私が!私が行こう!エア!)
(たまには私に行かせてくれないか、オプティマス)
((ダメよ!)(それは私の役目だということを忘れたのか!?))
(……レノックス、急用が出来た。訓練は明日にしてくれ)
(……じゃあな、サム)
(ちょ、この争いを僕にどうしろって言うのさ!ジャズ!それに気づかれたら僕オプティマスに顔剥がされるよ!)







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