! 現パロです。



ピピピ、と鳴り響くのはエアの携帯のアラームだ。
俺の腕の中でぐっすりと眠る彼女を起こさないように手を伸ばして可愛らしくもシンプルな色のスマートフォンを手に取る。
画面に設定されているのはエアと俺と、俺の兄貴であるヤンシーの3人で最近撮った写真で、思わず喉を鳴らして笑ってしまった。
3人とも変顔で撮った写真だからだ。

『ん、んぅ…』

小さく唸るエアに慌ててアラームを消すと、背を向けていた彼女は俺の方へと向き直るように寝返りを打ち、また静かに眠り始めた。
俺のシャツを着ているおかげで普段は見えない部分(胸とか谷間とか太腿とか)が見えているせいか、今度は別の意味で喉を鳴らしてしまいそうになったが何とか耐えた。
寝込みを襲う趣味はない、ーーよっぽどのことがない限りは、な。
エアの頬を撫でて額にキスをする。

『……ろ…りぃ…?』

ゆっくりと目を開けてまるで子供みたいに俺の名前を呼んだエアに笑った。

「起こして悪いな、エア」
『ううん。…おはよう、ローリー』

俺の頬に手を添えたエアがニッコリと笑うと同時に今度は俺の携帯が着信を告げ、いいムードを邪魔したのは兄貴だった。

〈イチャついてるところを悪いが、ローリー。もう時間だ〉
「兄貴…、分かってるなら邪魔するなよ」
〈とりあえずお前とエアの上司でもあるからな〉

その瞬間、悲鳴が部屋中に響いた。

『ち、遅刻だぁあああ!!』

この世の終わりみたいな顔をして俺の腕の中から飛び出したエアがバタバタとバスルームに向かって行くのを笑いながら見ていると、兄貴も笑った。

〈またお前がアラームを消したのか?〉
「あぁ。邪魔だったんでね」
〈悪い男だな〉

ニヤリと口角を上げた俺もエアの後を追うようにバスルームに向かい、俺たちが仕事場に着いた頃には完全に遅刻だった。





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