様々な怪奇現象の記事を表示するPCのブルーライトが目に痛く、思わず眉間に皺を寄せて唸ってしまった。

「酷ぇ顔だな、エア」

それを見ていたらしいディーンがケラケラ笑いながら新聞を捲り、隣で私と同じように怪奇現象について調べていたサムも苦笑していた。

「エア、後は僕たちが調べておくよ。君は少し寝た方がいい」
『へ、平気だよ、サム。ちょっと…その、唸りたかっただけだから』
「お前は動物か。…いや、常に狙われてる兎だな」
『う、うるさいな!それに私は兎なんかじゃないもん!』

テーブルに散らかっていたハンバーガーの包み紙をディーンに思いきり投げようとすると同時に視界が揺れたーーと同時に誰かにガシッと抱きしめられる。
私を支えるように抱きしめているのはサムだった。

「フラフラしてるじゃないか!早くベッドに…、ディーン!そこをどけよ!」
「怒鳴るなよ、サミー」
「サミーって呼ぶな!」

ぎゃあぎゃあと言い合うウィンチェスター兄弟の手によってベッドに運ばれた私はそのまま死んだように眠りについた。



そして起きたのはーー2日後。

『…って、寝過ぎにも程があるよ!』

寝癖か酷いままベッドから起き上がってそう叫んだ私を見たディーンがコーヒーを飲みながら笑った。
私の隣のベッドではサムがそのままの格好で寝ていて、彼を起こさないようにベッドから降りる。

「俺とサムが起こそうとしても身動きすらしなかったんだ。起きなかったお前が悪い」
『…っ、ご、ごめんなさい…』
「……冗談だ」

ほら、とディーンが差し出してくれたミルクティーを受け取ると、彼は私の頭を撫でて寝癖を直してくれた。
ちょっと乱雑に、だけど。

「正直、俺もサムも限界だった。だからちょうど良かったんだよ。…それに、俺も今さっき起きた」

コーヒーを片手にニヤリと笑うディーンに笑いながら肩を軽く叩いた。

『久々にぐっすり眠れたからかな、すっごく体が軽い気がする』

グッと伸びをすると、隣で寝ていたサムが体を起こした。
頭をガシガシと掻きながら挨拶をしてくる彼に微笑む。

「おはよう、エア。よく眠れた?」
『うん!もう元気だよ、ありがとう!』

良かった、と笑うサムの手を取り、ディーンの手も握りしめた。

『朝ご飯食べに行こう!』
「……あぁ、そうだね。行こうか」
「2日前と全然違うな。…どうせなら美味いもん食いに行こうぜ。あぁ、あと美人なお姉さんがいるところな」

相変わらずのディーンにサムと2人で笑った。
久々に、「普通」の朝を過ごしているような気がする。





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