大きな欠伸をする私を見たコールソンが苦笑し、慌てて口を閉じた。

「随分と眠そうだな?」
『うん…、最近眠れてなくて…』

そう言いながらもまた欠伸をしてしまう。

「しばらく眠ったらどうだ?時間になったら起こしてやるから」
『…うん、そうする。ありがとう、フィル』

おやすみ、と手を振るコールソンに手を振り返しながらフラフラと部屋に戻った。
シュッ、と開いたドアの向こうにあるベッドに飛び込もうとした瞬間、私はパチパチと瞬きをしながら首を傾げる。

「久しぶりだな、エア」
『……ソー…?』

アスガルドの神様であり友達でもあるソーがベッドに座っていて、にこやかに笑っていた。

「久々にエアに会いたくてやって来たんだが…、ん?どうした?大丈夫か?」

ソーが首を傾げながら立ち上がったのを最後に、私の意識は途切れた。



誰かが私の頭を優しく撫でてくれている。
ゴツゴツとした大きくて温かい手に思わず笑ってしまった。

「……幸せそうに眠るんだな…」

聞き慣れた声に、ゆっくりと目を開けた。
綺麗な青い瞳とキラキラ輝く金髪に少しだけ目が眩んだけれど、意識は次第にハッキリしていく。

『あ…、ソーだ…』
「目が覚めたか、エア」

ベッドに横になる私の隣に腰かけたソーが苦笑しながら頭を撫でる。
それがとても気持ち良くて、心地良かった。

「いきなり倒れ込んだかと思いきやそのまま眠るなんて…、全く」
『ご、ごめんね。しばらく眠れてなかったから…』

起き上がると同時に優しく引き寄せられて、そのままギュッと抱きしめられた。
思わず瞬きをしてしまう。

「それならまだ眠っていろ。1時間しか寝ていない」
『で、でも…せっかくソーが来てくれたのに…』

彼はそのまま黙り込み、私の背中を撫でていく。
睡魔に負けて深い眠りに落ちていく寸前に額に柔らかい感触を感じた。

「エア…、どうかいい夢を」

私は贅沢にも神様の腕の中で眠りについた。
コールソンが既に1時間以上前に来ていたということも知らずに。






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