甘ったるい匂いの元を辿ったその先には、やはりエアがいた。 白いエプロンを身につけながらパンケーキを何枚も作っては皿に並べている。 それだけを見ればどこにでもいる普通の女の子なのだが、仕事の時の顔は180度違う。 ゴキ、と首の骨を鳴らしながらゆっくりとエアに近づいて背後から抱きしめた。
『わ、バ、バーニー…、どうしたの?』 「いや…、何でもない」
驚くエアの頭に顎を乗せて俺の何倍も細い腰に腕を回してゆっくりと抱きしめると、彼女は小さく笑いながらも器用にパンケーキを作り続ける。
『おはよう…って言っても、もうお昼過ぎだけどね。二日酔い?』 「……クリスマスのバカが飲ませ過ぎるんだ」 『そうだねぇ…、でも、あんまり飲み過ぎちゃダメだよ?』
パンケーキにハニーソースをかけるエアに頷くと同時に彼女は何かに気づいたように俺を見上げた。 ドキン、と胸が高鳴る。
『ほら、早く着替えなきゃクリスマスたちが来るよ。今日は夕方から仕事なんだから』 「……あぁ、そうだな」
自分の腰に回されている俺の腕を軽く叩いたエアを解放すると同時に抱き上げてシンクの上に座らせると、案の定エアは驚いて俺を見つめた。
『ちょっ!ちょ、バーニー!何するの!』
ニヤリと口角を上げてキスをした。 額や鼻筋、頬や顎、そしてーー唇に。 舌を使って唇を抉じ開けて中に侵入すると、エアは俺が着ているタンクトップを握りしめた。
『ん…っ、ふ…!』
息が止まるその寸前で唇を離すと、今までにないくらいに粘り気のある銀色の糸が俺とエアを繋ぎ、彼女は熱い吐息を漏らした。 たったそれだけで喉が鳴る。
『…っは、はぁ…、は…』 「大丈夫か、エア」 『……バーニーの、変態…っ』
そう呟いたエアに思わず笑った。 と同時に聞き慣れた喧騒に素早く彼女を降ろすと、クリスマスが顔を出した。
「よう、調子はどうだ?バーニー」 「あぁ、絶好調だ」
ニヤリと笑う俺と顔を赤く染めるエア。 クリスマスが首を傾げたが、気にはしなかった。
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