「私、カクさんが美味しそうに見えて仕方ないんです」


夜道、突然現れた少女に突然美味しそうと言われて思わず思考が止まってしまったがこれは不可抗力と言う奴じゃろう。いや、それ以外わしにはどうすることもできんかった。異性に(もちろん同性にも)美味しそう、などと言われた経験などないんだから。


「えっ、と?」

「ああ、申し遅れました。私いつもお側で虎視眈々とあなたを狙うハンター、なまえです」


きゃ、言っちゃった!など顔を赤らめ手で覆う姿は可愛らしいのじゃが、聞いたか?今の更に訳の分からない台詞。いや、もしかしたらわしが可笑しくて此処では彼女みたいなのが普通なのかもしれん、いや、それはないな。仮にもしそうならわしは帰りたい。帰る。


「カクさんがこの町に来てからカクさんを目で追ってしまい仕事も手に着かない毎日です。責任とって結婚してください」

「それわし関係ないじゃろ!?…え、ないよな!?」

「何言ってるんですか、ほら、お腹にはあなたとの子供だって…」

「え、え!?初対面じゃろ!?」

「私のことは遊びだったのね…許さない」


殺気立っておる…!
今まで様々死線をくぐってきたがこれは初めてのタイプじゃ……!


「きゃあ!カクさんの初めて奪っちゃった」

「なんで心の声が…」

「愛の力です」

(こいつ頭おかしい…!!)


感じたことのない恐怖からか信じられないことに膝が笑っておる…。
とりあえず得体のしれないこの女から逃げるために足に力を溜めこんだ。

顔だけは好みなんじゃがのう…。


(この時のわしは近い未来になまえと交際することになるとは考えもしんかった…)


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