▼届かない星になるなんて、馬鹿な話だ
「代わりじゃないから」
緑川の真っ赤な目に言い聞かせるみたいに喋る自分が、遠く感じた。
「吉良ヒロトは俺じゃないよ。俺も吉良ヒロトじゃないんだから。それをみんなわかってるだろ?」
「わかってるつもりなんだよ、ばか社長」
ああ本格的に泣き出してしまった。リュウジの泣き顔ほど見ていて辛いものはないのに。俺の肩に顔を押し付けて泣く彼の、背中をあやすように撫でる。
「ごめんね、いい子だから、泣かないで」
(きみはまだおさないぼくのおとうとなのにきみはもう)
大人は強くなれません