▼おぼれたいの



「だから、二人でプールに行こう」
「水着がないんだ」

スポーツ店から出ると、外は15時くらいの夏だった。男子中学生二人を繋ぐ、少し重いビニール袋がカサカサ揺れる。
「俺はあまり泳ぎが得意ではないのだが…」
「うん、佐久間くんから聞いたよ。すっごい豪快な犬掻きが見ものだっ「わーッ!やめろ言うな!」
夏が二人の背中をじりじり焼く。市民プールが見えた途端、駆け出す二人の背中を。
「溺れるのも楽しいよ、きっと」
「…萌が助けてくれるなら」
「まあ僕も泳げないんだけどね」
明日には、溺れたあとがついた二人の背中を追いかけるのだ。



(少し塩酸くさい恋だが君となら構わない)


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