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「好きな人ができた」
お前より、ずっと好きな人。
「…ふーん、で、どうしてほしい?」
案外冷静でいられるんだなぁと自分を客観視しながら、風丸の言葉を待った。どうしてほしい、とはそれは風丸とルームメートをしてるからである。別にここに居たって出てってもいいのだ。恋人との生活は大事にしなくてはいけない。
「で、って…うーん」
「えぇ、考えとくもんだろ」
「てっきり佐久間が泣くかと思ってた」
「ハァ?」
俺が、泣く?確かに今現在進行形で風丸大好きだけど、いやだってさっきまで恋人だったし、でも。
「いや、その」
「…泣いて縋るくらいなら、一発殴って出てってやる。その方が後腐れないし、つか泣くとか、ほんと情けねぇっつーか、ほん、と」
「佐久間、」
風丸は優しいから、いっそ酷くした方が奴には良いのだ。別に泣いてねぇし、ちょっとしゃっくり出てるだけだし。歩み寄ってきた風丸に抱きしめられて、なんか、風丸体震えてね?
「…おい風丸」
「今日はエイプリルフールなんだ」
「よし動くな、一発ぶん殴ったら出てってやるから」
「えっうわちょ」

翌日ニコニコ笑うイケメンの顔が見事に紫色に腫れ上がってるのを見て、あの豪炎寺が笑ったらしい。俺の機嫌はやっと良くなった。






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新境地。


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