あのマフラーは確かに先輩や。高校の制服。ヘアバンドは校則違反なんやろか、してへんかった。あと、隣に、女。マフラーで人を判断すんのもどうかと思うんやけど、せやかてあれ、俺があげたやつやもんなあ…だらだらと考え、俺はユウジ先輩の後をつけていた。(つけたっちゅーか、俺の家がマフラーの進行方向と一緒なだけで。)

途中の公園の前でふたりは立ち止まった。あのマフラー、キスとかするんかなーとか
思っていたらほんまにキスしよって、これはあかんと思って急いで逃げようとしたら、

「あ!」
マフラーがこっち見て、あって言って、目があって、追いかけてきて…つかまった。

「彼女いいんすか」
「あんなん好きやないわ」
「ホモっすもんね」
先輩はなんかよくわからん顔をして俺の手を握った。なんかよくわからん展開になってきた。妙に力が入ってて逃げるに逃げられへん。「あの子、光ちゃんゆうから付き合うてんねんで」って言って俺から目を逸らす。顔見たら泣きそうになってて思わず「先輩、きもいっすわ」って言ってしまった。そしたら先輩「俺女々しいな。振られたのに、まだ好きやもん。マフラーも捨てるなんてできひん。ほんまきもいわ」って涙目。堪らなくなって俺は走った。めちゃくちゃ走った。男の泣き落としなんか効くかとか思ったけど無理やった。先輩は先輩のままだ。

 先輩、俺もユウジさんがまだ好きっすよ。って顔は俺にはできない。せやから俺が変わるまで、ずっとマフラー巻いたまま、待っててもらえませんか。




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好きだけどユウジのこれからの幸せのためにさよなら、卒業後の再開。
20091223
20140404.修正
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