ぐるぐると世界が廻った。あつい。汗が頬を伝って落ちていく。たったったっ、誰かの足音。遅いからケンヤ君やないな。つめたい。おでこに(多分)ペットボトルがのせられた。汗臭くなるだけやで。ぬるい風がふいている。

「……る」

る?るーるるる、ほたるー、じゅん、ってそれは北の国からやった。ってあかん、全然おもろない。ケンヤ君が中途半端なモノマネして滑ったときみたいな気分や。

「…っか…」

ごろんとペットボトルが落ちた。ぽつり。おでこに水滴。雨やろか。傘、持ってきたっけ。ユウジ先輩は持ってきたやろか。小春さんより好きって言うまで絶対入れてやらん。
ん?ユウジ先輩?ああさっきの北の国からはものまねか。似てへんかったな。もっかい言ったら似てへんて言おう。

「……るっ」

ほらだめだ似てへん。
ほんま「似てないっすわ」

「ひかる!!」

目を開けるとユウジ先輩が泣きながら超不安そうな顔して目の前にいた。そんな、俺の頭に覆い被さるようにしたら涙直撃やないか。雨やなかった。

「ひかるっ!ご…めんな…。アクエリ勝手に飲んでもうたから…ひか…うう」

あ、そういや水分補給しようとしたら

『光!今日俺飲み物忘れてん。一口もらうで!』
『あ…』
『財前!はよ来ーい!』
『しゃーないっすわ』

で結局そのまま試合。成る程、俺は熱中症で倒れたと。

「ほんま、ごめんな…」
はい、と俺のアクエリが手渡される。ごくり。喉が熱望していたアクエリは直ぐに空になった。

「光、大丈夫か、どっか変なとこあらへん…?」

本当ならここがどう大丈夫じゃないとか言って止まりつつあったけどまた泣き顔に変えたい。せやけど、部活中やねんなあ。あ、

「そういえば間接キスっすね」

「やっぱり、大丈夫やないわ」

タオルを投げつけられたからよく見えへんかったけどユウジ先輩は照れ笑いしてたらいいと思った。

「コート寝づらいんで膝枕してくれたらありがたいんすけど」

「熱中症やなくてただのアホの子ちゃうか!!」




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日射病が悪化するとへんなことを言うらしい

20100123
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