Clap
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「柳生、それは何の拍手なの」
歴史の授業が終わると直ぐに彼はあたしの席までやってきて、ぱちぱちと手を叩き出した。「貴女があんなに挙手していたことなど今までなかったので、嬉しくなってしまいましてね」「なんで柳生が嬉しくなるのさ」「服装点検では違反者でよく名前が挙がる、素行のあまりよろしくない貴女が勉学に励んでいるなんて、感動してしまいまして」柳生は口角を上げたままうんうんと頷く。なんだ、嫌味か。「あそこちょうど読んだ漫画で出てきたところだったから、たまたま」漫画、と言うと口角が下がる。眼鏡の位置を調節した。また何か言われる前に席に帰すことにしよう。「柳生、今日の休み時間は予習しないの?」「貴女という人は…」「ほら、手がかかる子ほど可愛いって言うでしょ?」「自分で言いますか、それ」「うん」
「では自覚しているようですし、これからもっと可愛がって差し上げますね」
え、柳生、それはどういうこと?
「覚悟したまえ」




後日、柳生に引っ張られて塾に行くようになり(結局入会した)、柳生に怒られたから授業をサボることをやめ、毎回の柳生の念入りなお小言のお陰で服装点検に引っ掛からなくなったあたしは、柳生と付き合うようになったのだった。姑みたいな彼だけど、柳生なりに可愛がってくれてるみたい、です。


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ありがとうございました。誤字脱字の発見や感想等、ありましたらお願いします。




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