私たちの集会場所の定番といえばここ、
織姫の家。

放課後も休日も時間さえあれば集まって何でもないような話をぐだぐだと続ける
本日の話題はもちろん転校生の朽木さん、と一護
なんでも織姫が2人が公園で遊んでいたところを目撃したらしい。

そう言えば学校でも一緒に出て行ったっきり授業をサボってたし…
転校して来たばかりの朽木さんと、一護
2人は一体どんな関係なんだろう





「バッカじゃないのあんた!?」




突然の大声に身体を揺らす

私が2人のことを考えている間に話が進んでいたみたいで
急に大声を出したたつきに口を尖らせた織姫がバカじゃないと主張したけれどまた馬鹿だと言われてしまっていた




「そんなチャンス無駄にするなんて、他になんて言えばいいのよ」

「や、やっぱりそうかな…」

「こういう時はガっと一気に行くの!
凉音、あんたも覚えときなさい!」





話の内容はイマイチ読めないけど、迫るたつきの気迫に押されて何度も頷く
頷いておかないと今すぐに投げ技を食らわされそうな迫力




「いい!?こういう時は力任せに暗がりに引き込んで…」



ごくり、と喉を鳴らしたのは私か織姫か…




「押し倒す!!!」



あんたなんかそのデカい乳でも揉ましゃあ相手から襲ってくるわよなんてとんでもない発言をするたつきのせいで織姫はお茶を気管に入れてむせてる




「たたたたたたたつきちゃん!?!?」

「一護を力任せに連れ込むにはかなり力が必要になってくるだろうから
まずは筋トレから始めないとね」


「凉音ちゃんも!そういう問題じゃないから!」



あ、そうか。



「そうだそうだ!
一護は胸掴ませたって襲うような人じゃないもん」


「アイツもただの健全な男子高校生よ?
一護に夢を見るのはやめて凉音はまず好きな人を見つけなさい」


「ぐっ…好きな人…。
ん?織姫はいちごのことが好きなの?」


「ええぇ!?好きっていうか、なんというか…見てて面白いなって思うよ」


「見てて面白いはイマイチわからないけどなあ…
それだったら石田くんの方が面白そうじゃない?」

「あんた石田がタイプなの!?」

「いや、タイプって事じゃなくて…」




普段はすっごく真面目にして勉強できます、って感じだけど手芸部ってギャップとか
大人しそうに見えて偶に一護を睨んでたり…面白そうな人だなって思うだけで…


ズパン、というような不気味な音が聞こえたのとほぼ同時に棚に飾られたヌイグルミが床に落ちた




「な…何?」

「ああ!凉音ちゃんに貰った大切なものだったのにいい…」




音の正体はぬいぐるみのエンラクの布が裂けた音だったみたい



何だろう…凄く嫌な予感がする。
今までにないくらい心臓が大きく鳴って、呼吸が浅く







「え、」


「織姫!?」




エンラクから大きな手みたいなものが出てきて織姫を貫いた、と思ったのもつかの間織姫が分離して…



「織姫!?何どうしたの!?」



たつきは貫かれた方の織姫をゆすっているけれど、私はそれよりも"織姫"から飛び出してきた"織姫"



「え?これ、何…?織姫?」


「凉音」



パニックに

少し前に見たカマキリの化け物の仲間みたいなやつがぬいぐるみからはい出て来た



たつきへと伸びる化け物の手



「たつき…!!」



その動きがスローモーションみたいに見えて
頭が妙に冴えていて、体がよく動く。



化け物のてがたつきを捉える前に彼女を突き飛ばして、化け物の攻撃が足をかすった

たつきは私のせいで壁に頭を打って気絶してしまったけど…そのおかげか化け物の標的にされることは無いみたい


それよりも…かすっただけだと思ったのに爪は思ったより鋭かったらしく血が溢れてくる

痛いのかなんなのかよくわかんないや


それよりも、織姫。
なんで、2つに…それによく見たら胸のあたりから鎖が出てるし苦しそう…だけどあの鎖、あれは取っちゃいけない気がする




「織姫…その鎖、とらな…ッ!?」




仮面をした化け物にその大きな手でぐ、と喉を締め付けられる


あ、思い出した。
朽木さんあの時の死神に似てるんだ


「凉音ちゃん!!」



「はあっ…ハッ…ハッ…」


「凉音ちゃん、たつきちゃん…
逃げて今のうちに!」


「無駄だよ織姫…
彼女達には俺たちの声は愚か姿を見ることも出来ないよ…」




私には見えてる、と言ってやりたかったが





「どうして私の名前知ってるの…?」



織姫が震えた声で問うと、化け物は少し間を開けて



「俺の声も忘れたのか…かなしいな…織姫…ッ!」


「おり…姫っ」



化け物の鋭い爪が振りおろされる直前、織姫を庇い覆い隠すように守って来るはずの痛みに備えるが




「…一護…」



黒生き物、大きな刃で化け物の攻撃を受け止めるその姿は、あの日の死神と似ていた



「…一護…」



「邪魔をする気か!」

「わりィが…それが俺の仕事なんでね…」




もう、大丈夫。
安心した途端に痛みを感じ私はそのまま意識を手放した





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