待ち合わせ

同窓会の前日の今日、
私は早朝の飛行機に飛び乗って日本へと帰ってきた


当日の最終便に乗って帰るから二次会なんかには参加出来ないけど花や京子に会えるだけで満足

それに…綱吉たちにも。



そして今日は京子、花と一緒に並盛ショッピングモールへ…のはずなんだけど




「並盛ショッピングモールってどこ…」




私の独り言は街のざわめきにかきけされた


久々に降り立った並盛は私が中学生だった頃から様変わりしていて…
結果的に言うと迷った、迷子。




ああ、元地元で迷子だなんて…こんな事なら"懐かしいから少し歩こう"なんて思わずに駅前でタクシーに乗ればよかった

花は馬鹿にされてしまうだろうけど連絡も無しに遅刻するわけには行かないし…
からかわれるのは覚悟の上だ、とスマホをタップしようとした私の視界の端を横切る銀髪



「あ…っ、」




咄嗟に彼の腕を掴んでしまった

今の私不審者じゃない?でも知り合いに似てたから…



「あ?」




少し不機嫌そうに私を見る鋭い翡翠色の瞳に太陽にあたってキラキラ光る銀髪

やっぱりそうだ、獄寺くん。


だけどその表情は警戒心が丸出しで、
今更ながら私の事を覚えてくれているのかと不安がよぎった



「ええ、と…私…」



彼が私を覚えていない可能性は大いにある。
だって獄寺くんてば綱吉以外の人間にはあからさまに興味がなかったもの…


なんて言えば思い出してもらえるかな
やっぱり綱吉の幼馴染だった…とか?




「お前…暁名か?」




私が頭の中でぐるぐると考え事をしている間に獄寺くんも頭の中で私の顔を記憶にある顔達と照らし合わせていたんだろう

少し自信なさげな声だったけど私を思い出してくれたみたいだった




「覚えてえくれたんだ、久しぶりだね
獄寺くんも明日の同窓会出席するの?」

「嗚呼、10代目がご出席になるからな」




さすが、忠犬っぷりは今も変わらずらしい

それから少し話をしたけれど彼は私のあの頃の不良君では無くなっていた




「獄寺くんすっかり大人になって…」




お前は俺の親戚かよ、何て突っ込まれたけれど
でも本当にそう思うんだからしょうがない
背もうんと伸びてるしあのギャイギャイ騒いでいて周りには威圧的な獄寺くんはもう居ない

そう思うとそれはそれでどこかさみしい気がするけど。




「あ、違う違うそういう話は明日すれば良くて…
並盛ショッピングモールってどこにあるか知ってる?
私そこで待ち合わせしてるんだけど…並盛ってひさしぶりでね、ちょっと」

「迷子か?」

「まあ、うん。迷子みたいな、そんなところ…」









待ち合わせ場所である1Fのカフェに急ぐと2人は既に話しに花を咲かせていた


待ち合わせ時間数分前、ギリギリだけどなんとか間に合った…
迷子であることをからかいながらも丁寧な地図まで書いてくれた獄寺くんには感謝しないと



「花、京子!」




私に気がついたふたりは笑顔を見せてかりん、と私の名前を呼んだ

2人ともすごく綺麗になってる!




「ごめん、ぎりぎりになっちゃって」

「迷子になってたんじゃないでしょうね」

「久しぶり、かりんちゃん!」




少しだけ意地悪く笑う花と、屈託のない笑顔の京子

すごく久しぶりのはずなのにそんな気がしないのはなんでだろう
ほんとつい何日か前に会ったような、そんな感じがする




「花は髪短くなってるし、京子は伸びたねー
大学の頃から伸ばそうとしてたもんね」

「やっとここまで伸びたの」




髪が長いとお手入れが大変、と言う京子に花が短いと楽ねもっと早く切ればよかったと笑う


それからはお互いの近況を話して、過去の思い出話をしながら花の恋バナをつついた
当時の彼とは今も続いてるみたい!

そして過去の話なんかをしてると私たちのあいだに絶対と言っていいほど話題に上がるのが綱吉達




「沢田達出席すんのかしら?」

「ツっくんも獄寺君たちと行くって言ってたよ」




ツっくん、て綱吉の事だよね?

今はそんなふうに呼んでるんだ…
すごく親しげな感じだから2人は付き合ってるのかも、なんなら結婚…は指輪してないならしてないかな。


綱吉は中学の頃のから京子のことが好きだったし、それに京子も…たぶん。
だから付き合っていたらおめでたい事なんだけど…そうなんだけど…


ずん、と心に重りが乗ったようなそんな感覚が私を支配して2人の話が頭に入ってこない




「かりんちゃん!」

「あ、え?」

「え?じゃないわよ何回も呼んでんのよ?」




ちゃんと休めてるの?と心配をしてくれる2人に時差ボケしちゃってるかも、と笑って誤魔化せばそれはしょうが無いと笑ってくれた




「えっと、それで何て?」

「明日の服買いに行きたいんだけどいい?」

「私も買いたいな」

「明日はお洒落しなくちゃいけないもんね
髪の毛は私がセットするから任せて!」




並盛ショッピングモールにはたくさんお店が入ってるから決めるのには時間がかかりそう

京子ったらケーキと服の事になるとちょっぴり優柔不断な所があるんだもの




「あ、ハルは7時には合流出来るって」

「じゃあそれまでには帰らないと」

「でもご飯はどうする?食べに行く?買う?」

「あー…ハルに決めてもらお」




買い物ももちろん楽しみだけど夕方からはハルも合流して花のうちにお泊まりの予定だから今からワクワクするなあ






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