Bijou-視線を感じて-

注意
バーボン性格悪め…?
序盤あまり好かれてません少し注意。






「次の任務の話だ、××に来い」
用件だけ告げられ返事を返すと一方的に切られる電話、ジンからだ

"バーボン"が好む服を着てRX-7に乗り込む。
突然組織から招集がかかることは別段珍しいことではない



指定された場所に向かうと彼の愛車であるポルシェ356Aの側にはジン…と女。
後ろの高い位置で纏められた髪に色白で横顔だけでもハッとするような端正な容姿

彼女もまた黒っぽい格好をしているから組織の人間か、いや ジンの女という可能性も無きにしも非ず、だ。

彼女が本当にジンの女であれば…上手くやれば組織に関する情報を聞き出せるかもしれない。
そう思っていた矢先、ジンの口から彼女の正体を知ることになった





「流石だな、アリス」



ベルモットやジン、その他幹部もアリスと呼んでいる新しい幹部アリス・マイン
彼女が、想像していたよりも随分と若いな
あの年で幹部とは全く恐ろしい。


才色兼備で怖いもの知らず,
彼女の任務成功率は100%で、絶対に成功させたい任務には必ず同行させると聞いた


ジンの彼女では無かったが奴のお気に入りだと聞く、やはり彼女に取り入って置いて損は無さそうだ。




「こっちへ来いバーボン」

「待ちくたびれてしまいましたよ」




どうやって彼女に近づこうか、取り入りやすい性格をしていればいいんだが…

柱の影から出て初めて彼女を正面にみたその瞬間、自分の眉間に力が入るのが分かった

顔、背、性別全て違うが彼女が放つ独特の雰囲気はなぜか赤井秀一、奴を思い出させるものだったからだ





ーーー




任務は予定時間よりも遥かにはやく終わった。


アリスはあまり頭で考える方ではないと聞いていたがあれは決して馬鹿だとかそういう意味ではなく、彼女には早く幹部に上がってきたのも納得できる実力があった。

確かに実力はあったが幹部になってまだ日が浅く、組織自体にもまだ長くいないと言う彼女にあれほどまでに無駄のない動きが出来るものか?
どこかで学んだのか…いや、それにしては荒いが
彼女の動きは完全にプロのそれだった


しかし何をしていても余裕の表情を崩さない彼女の顔にライ、赤井秀一の影がちらつく。
その度にその顔を崩してやりたい衝動を抑え込み冷静になるように言い聞かせてなんとかやり切ったが…



彼女がRX-7に興味を寄せているうちに報告を済ませて車に乗るように促そうと振り返ればアリスは既に車に興味をなくしていたようで
報告が終わったことを確認するなり大通りへと消えようとする彼女の手を咄嗟に掴んだ




「な、なに?」

「どちらへ?」




アリスの戸惑ったような瞳とかち合う

…驚いたことにその瞳には拒絶の色が全くといっていいほど含まれていなかった
少なくとも任務完了直後までは苦手意識、もしくは別の良くない感情を持たれていたはずだ
たまに目を合わせてもその瞳はわかり易く拒絶の色をしていたというのに

黒曜の瞳は僕の瞳を捉えたままぼんやりとしていて、意識をどこかへ飛ばしているようだった
アリス、と声をかければ小さく反応を示して僕の手を振り払った



「帰ろうとしているんだけど…」




また目をそらされてしまった
しまった?…しまったってなぜそんな、それじゃあまるで…






「送ります
それとも僕に送られるのは嫌だと?」



無性にイライラして嫌味ったらしく聞いてやれば彼女はペアで行う任務ではあまり前かもしれないけれど私の事は送らなくてもいいと言った



「いいから早く乗ってくださいと言っているんです、あなたに耳はついていないんですか?」




「はいはい、お願いします。」




1日共に行動して初めて聞く感情のこもった声に、一瞬耳を疑った
彼女をみれば彼女もまた自分の声に驚いていたのかかすかに目を見開いていたから無意識に出た声らしい


少し間を置いて聞こえた声が少し低くなった事とぶっきらぼうな言い方から彼女が不機嫌になったと言うことはすぐに分かったがそうなった理由がわからない





「…どうしてむくれてるんです?」

「なんでもありません。
送ってくれるのならさっさと送ってください早く帰りたいの」




一瞬だけこちらを見やった彼女の顔に先程まで張り付いていた余裕の笑みはなく、代わりに口をへの字に曲げて今にも頬を膨らませそうな不機嫌な顔があった。

幼さすら感じるその表情に小さく動揺している間に素早く助手席に体を滑り込ませてツンとそっぽを向くアリス


口調も崩れて拗ねている様なその態度に口元が少し緩んでしまう





「なにか?」

「あなた…そんな顔もするんですね」

「…そんな顔ってどんな顔」




どんな顔って…、その不満そうな…むっすりした顔ですよ、そう言いたいところだがここでわざわざ指摘をしてもその口をさらに尖らせるだけだろう





「いえ、僕は少し勘違いをしていたようだ」



「…そう」




彼女はアリスであって赤井秀一ではない。


確かに雰囲気は似ているが、
いつもスカしてるあいつとは違ってこの子にはまだ年相応の幼さが見え隠れしている
似ているからと言って辛く当たるのは少し、大人げなかったか








後書き

アリスちゃんをティーンぐらいだと勘違いしてるバーボン
○ ○ ○


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