好意の表現方法が紳士的


澄んだ青が広がる空。雲一つない空模様に心が少しばかり開放的になるのは仕方ないことだと言ったのは誰だったろうか。その言い分が理解できないわけではない。できないわけではないのだけれど……。

「朝から何をしている」
寝ていた自身に対し覆い被さるようにして顔を近付ける男にクラサメは冷たく言った。
「あ、クラサメ君起きたの?おはよう。ちなみにまだ何もしてないよ」
カヅサはなに食わぬ顔でそう言うと再度顔を近付けてくる。クラサメは深々とため息をつき、容赦なく足で腹を蹴り上げる。その結果カヅサが床に転がることになったのだが、双方共に今さら気にもしなかった。
「朝から激しいんだから」
「黙れ」
クラサメの冷たい言葉にも態度にもカヅサが気を悪くする様子はない。それどころか床に座り込んだまま頬に手を当て、顔を赤らめてさえいる。恋する乙女のような反応だが、状況がやや特殊である。
しかしそんな状況でもクラサメが動揺することもなく平然としたまま身支度を始めた。
「クラサメ君ってば大胆なんだから。自分から脱ぎ始めてくれるなんて、誘われてるとしか思えないよ。もしかして僕のこと待ってた?気が付かなくてごめんね。まさか君がそんなに前向きに考えてくれてるなんて……」
キャー、と顔を伏せじたばたとするカヅサに目もくれずクラサメはコートを羽織りマスクを着ける。そして丸まった背中を蹴り飛ばすと「授業の準備がある」と早々に部屋を出ていってしまった。その背中を見てカヅサは微笑み後を追った。

その曲がり角で捕まえて、おはようと唇を重ねようと。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -