別ジャンルです

2012/06/11 16:25

日頃の鬱憤を晴らしたいことは誰にでもあるだろう。日に日に溜まっていけばいずれ爆発してしまうものだった。
ゼクシオンがマールーシャに対して怒りを覚え、仕返しをしてやろうとあれこれ考えるのも決して悪いことではない。そうして押し倒してやればいいという結論に至った。
普段女のように組みしかれ、好き勝手されている身からすれば、たまには女役を代わって欲しいと思うのは必然だった。しかしその行為に及ぶ直前になってしまうと流されているのが現状である。自分が女役に定着していることにも腹が立つし、男のプライドもある。


「このままではいけませんね」

自室で物思いに耽っていたゼクシオンは呟く。女役がいかに辛いものか身を以て知ればいいのだ。

マールーシャとその行為に及ばなければいいのでは?という声には「それはできない」と答えるほかない。感情がないからこそ愛を確かめ合う行為が必要だと双方が考えている。愛など欠片もないが、人間としての記憶の中でなら愛を知っている。好きだとか特別な感情で求めあっているわけではないのだ。そんなことを言っては鬱憤や怒りも感じることはない。
とにかく。ゼクシオンはマールーシャを一度本気で押し倒してその身体を弄くり回してやろうと思った。あるのは愛や怒りなどではない。知的好奇心のみだった。



力で敵わないことは承知している。しかしそのような野蛮な手段でなくともいくらでも方法はある。策士としてのプライドもゼクシオンにはある。

「僕が本気になれば貴方なんて相手ではありませんよ……」
レキシコンの表紙を撫でゼクシオンは不敵に笑った。







自室で薔薇の手入れをするマールーシャは扉の前に知った気配を感じ声をかける。
「どうしたゼクシオン。もう私が恋しいか?」
「野暮用です。入りますよ」
扉を開けたゼクシオンが花を一輪持っているのに気付きマールーシャは分かりやすく口角を上げる。
「野暮用とはそれのことか?」
「えぇ。僕が持っていても仕方のないものですから差し上げます」
スッとゼクシオンが花を差し出せばマールーシャは顔をしかめる。
「珍しいことをするものだな?」
「不要ならば捨てますよ」
「美しい花を雑に扱うな。慈しむべきものだぞ」
「生憎そのようなものは持ち合わせていませんから」
マールーシャが花を受け取ったのと同時にゼクシオンは瞳を細める。
幻影である花は形を変えマールーシャに襲い掛かる。身を拘束するつもりだったがそれは容易くかわされてしまう。
「やはり裏があったか」
「勿論です」
拘束に失敗してもゼクシオンは余裕の態度を崩さない。それを不審に思ったマールーシャが口を開こうとしたところで忍び寄るツタに手足を拘束された。
「なんだと!?」
「僕が部屋に入った時点で既に幻影の中でしたよ。気付いてなかったんですね」
そう言ってゼクシオンはマールーシャに歩み寄る。
「教えて差し上げますよ。与えられるだけの快楽を……」




ここで力尽きました。誰か続きください
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