放課後の逢瀬

家の近くに流れる一本の川
土手に座ると気持ちがいい風がふくのを感じられる
私はこの土手から川を眺めるのが好きだ

泥門高校に入学して一週間
アメフト部のマネージャーとして私は過ごしている
今日もドリンクの補充をまかされて、スーパーへと向かっていた
荷物はわずか五本程度のドリンクに、ついでに買ったタオル
《余計なもの買いやがって!!》
とあの人は怒るだろうか
また武器向けられないといいけど
ちょっと不安になりながらも、川沿いの道を自転車で進む
夕日に照らされた水面は黄金色に光っていた

(綺麗だなぁ…)

なんて思っていると、目の前から人がランキングしてくるのが見える
どこかの高校生だろうか
随分熱心に走ってる
ドラマとかでみるボクサーみたいな服装だ
遠くから見ても気迫(殺気)に満ちてる
しかし次の瞬間、その人は目の前に迫っていた

「えっ、あっ…!!」

いつの間に…!?
走るの早すぎるよ!
というか避けなきゃ!
だが私の身体は、なぜか川に向かってハンドルを向けていた
私のばかぁああ!!!!

(落ちるっ!!!)

目をキュッと閉じて、身を縮めた
もう駄目だと思うと、背中に人の腕が回されているのに気づく

「っ…!!」
「えっ」

一瞬だけ目が合う
漆黒の瞳
誰ですかーーー!?

ドボーーーーンッ!!
ドサッ

考える暇もなく、水に落ちる音がした
同時に私は地面に叩きつけられる
…地面??
じゃあさっき落ちたのは…!?!?
川をのぞくと、さっきと同じ瞳を持った男子が水から姿を現した

***

「本当にごめんなさい!」
「気にするな」
「でも…」

川から上がった彼は、案の定ずぶ濡れだった
水分を吸ったパーカーを絞りながら、必死に謝る私
上半身裸の彼は寒そうだ

「これ、良かったら」

幸い荷物と自転車は無事だったので、タオルを一枚差し出した

「すまん」

買っておいて良かった…!!
でも少しサイズが小さい
本当は私がクリーニング代とか払わないといけないのに、あいにく今はお金がない
私のせいで、本当にごめんなさい!!
どうしたらいいかな、とりあえず学校に…
って遠すぎるよ!
じゃあ自転車で送るとか?
ヒル魔さんがなんて言うか…
私がぐるぐると頭を悩ませていると、彼が口を開いた

「そんな顔をするな。むしろ支えきれなかった俺の落ち度だ」
「落ち度だなんて!私が避け間違えたせいです。本当はもっとお詫びしたいんですけど…」

なにせここは川の近くで、周りには草と水しかない
街は随分離れた所にある

「ではその服はお前に預ける。それで気が済むならいいが」

わしゃわしゃと髪をふきながら、彼は言った
それは服を洗濯してくればいいってことかな?
だったら喜んでするけど…
気を使わせてしまったかな

「はい!わかりました」
「では俺は行く。明日また此処に来る」
「ありがとうございます」

少し微笑んで、彼は道を走って行った

(あれ、そういえば…??)

ちょっと疑問に思いながら私は自転車を立てて、また走り始めた
明日またこの場所へ来なきゃ…
胸の奥が少し高鳴ったのを感じた


fin.

(進!どうしたんだその格好!)
(ガハハハハ!!川に落ちただとよ!)
(まさか君…上半身裸で走って来たのか!)


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