私の彼氏は天邪鬼!

「おい、帰るぞ」
『今日は一緒に帰れませんって、メールしたのに』
「アーン?俺様が帰るって言ったら帰るんだよ」
『……じゃあせめて……更衣室から出てってください』
「わかった」

バタン!!

「「きゃああああああ!!!」」
「跡部様よ!跡部様が今ここに!」
「あの鮮やかな目の色!しびれるわあああ!!」
「建国してええええ!!」


私の彼氏、跡部景吾はおぼっちゃまです

そのため、「常識」を知りません
今の場合はおぼっちゃまでなくても、普通やらない

「相変わらずの自由人だね。アンタの彼氏」
『もう慣れちゃった』
「どうやったら着替え中の女子の部屋に堂々と入ってこれるのよ」
『さあ…』

最初は私もツッコんでいた
もちろん改善させようともした
けど、無理だったんだ
あいつは俺様の超プライド高いヤツなんだから

「終わったのか」
『話があります』
「アーン?言ってみろ」
『一度生まれ変わったらいいと思います』
「はあ?何言ってんだ。俺様は生まれ変わっても俺様だ」

みんなが敬う跡部様も、実際はアホだったなんて
ファンクラブのメンバーは失神しかねないね

「それより帰るぞ」
『だから、今日は委員会があるんです』
「そんなの代役に任せろ」
『嫌です。自分の仕事は自分でやります。教室で待っててください!』


***


『…あ』

委員会が終わり、走って教室に帰る
いつまで待たせるんだと怒られるかもしれない
そしたら、跡部さんはやっぱり教室にいた

『……そこ。私の席なんですけど』

私の席に座って、眠ってしまっている
待ちくたびれちゃったのかな…
でも、こういうトコ可愛いとか思ってしまう

『…(髪サラサラだ)』

銀色に光る髪は、女の私よりもサラサラ
高級なシャンプー使ってるんだろうな

「…ん。終わったのか」
『あ、はい。お待たせしました』
「…よし」

なんだかまだ寝ぼけているみたい
目をパチパチさせている

「今日は徒歩だ。駅まで歩くぞ」
『はい』

以前は車で送ると言ってくれたけど
私が落ち着かないって伝えたら、素直に徒歩にしてくれた
「俺様が直々に送ってやる」
なんて言ってたのを思い出す


夕日が照らす街並みは、個人的には好きだったりする
ここ最近は一緒に歩いて帰るから、特に意識しやすい

『ずっと待たせてスイマセンでした』
「俺様を待たせるなんざ、度胸があるな」
『さっきの更衣室の騒動の方が度胸あると思います』

なんで付き合ってるのか、不思議なくらい
私は跡部さんには不釣り合いだと言ったことがある
けど、俺様の相手は俺様が決めるって前に言ってくれた
あの日から、私は彼の彼女になった

「待つのは嫌いだが。お前を待つのは嫌いじゃない」

さらっと嬉しいことを言ってくれるのも、昔から
リップサービスなのかもしれないけど、やっぱり嬉しい

「今度の連休はパリへ行くぞ」
『いってらっしゃい』
「アーン?お前も行くんだよ」
『なんでですか』
「俺様についてくるのは当たり前だろ」

…素直に寂しいっていえばいいのに
本当に天邪鬼なんだから

『ちゃんと荷造りしてるんですか』
「いや。じいやに…」
『自分で自分の世話ができる人って、素敵ですよね』
「仕方ねえ。俺様がやってやるか」
『フフフ』

意外と素直な芯の持ち主だって
知ってるのは私だけでいい…なんてね

『これからもよろしくお願いします。跡部さん』
「アーン?誰に向かって言ってんだ」
『私の彼氏さんです』
「…フン。よくわかってんじゃねーの」

こんな彼だから、私がいなきゃ駄目なんですよね

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