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 暖かで心安らぐ腕の中で目が覚めると、そこには春歌を窺う真斗がいた。起床と共に至近距離で大好きな恋人の顔が飛び込んで来たことに驚きつつも、愛しい人の腕の中で目が覚める幸福感に春歌は頬を緩ませる。ひとつ欠伸をしてから真斗の胸に額を擦り寄せ、ゆったりと挨拶をした。
「おはようございます……」
「…………」
 普段真斗はここですかさず挨拶を返してくれる。しかし返ってきたのは甘く優しい声ではなかった。
「何を言っている……」
 春歌の短く並ぶ髪を掬う真斗が、ふたりきりの時にはあまり聞かないような低く鋭い声を響かせる。春歌は虚ろだった瞳を見開き、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。そして見上げると、怪訝そうに眉をひそめる彼の表情に戸惑う。彼は目を合わせてはくれず、そんな春歌の様子を観察しているようだ。
 今の挨拶におかしな部分があっただろうか。礼儀正しい彼を不機嫌にさせてしまうような不躾なことでもしてしまったのだろうか。困惑しながら、まだ冴えきらない頭で考えていると、ふと彼の異変に気づいた。
 真斗はその育ちからか、出会った頃から本来の年齢にそぐわない大人びた性格や態度が目立っていた。体は10代の若々しい男の子なのに、その精気を押し留めているかのような。それが本人の個性ではあるが、やはり年相応の顔つきや感性とはどこかずれていて。パートナーになったばかりの頃は、時々、ほんの時々だが違和感を感じた事もあった。
 それが今、目の前にいる彼は、まるでその落ち着きが体に現れたよう。中身ばかり大人びていた彼が、器にも更に味と磨きがかかり、漸く自身の身になったような。悪く言ってしまえば、10代相応の若々しさはやや衰えているが、凛々しい顔つきや涼しげな眼差しはそのままに、春歌の緊張を僅かばかり和らげてくれる。
 そしてその落ち着きに加えて感じたのは、えもいわれぬ魅力と言うか、やけに容貌が垢抜けている。元々真斗の顔も体も信じられないほど美しいものだが、今春歌を抱き締める彼は全てが洗練し尽くされている。美しさと気品を保ちながらも清らかさと強さを湛え、更に見たこともない程うっとりさせられる色っぽさにくらくらする。
 春歌は真斗の顔をまじまじと見ていたが、見とれて頭がぼうっとする感覚を覚え視線を落とした。このまま見とれていてはまるで取り込まれてしまいそうで。そこにいるのは間違いなく真斗のはずなのに。何故か手が震えるのを止められず、それがときめきから来るものなのか怯えているからなのかは、よくわからなかった。
 真斗であって真斗でないその人。まるで真斗が春歌を置いて先に大人になってしまった姿のよう。
 そこまで思い至った所で、彼の胸元に目が留まる。
 何故……何も纏っていないのだろう。最近眠るとき寝間着にしているラフなシャツも、一番落ち着くと言っていた浴衣さえ身に付けず、目の前の真斗は上半身に何も羽織っていない。
 真斗は必ず寝間着を着て床につく。稀に春歌と肌を重ね愛し合った夜など、そのまま裸で眠ることが時々はあるが、昨夜は特にそんな行為もなくふたり寄り添いあってすぐにぐっすりと眠りについた。真斗は黒のズボンと白いシャツをきちんと上下着ていたはずなのだと覚えているが。……まさか全身何も身に付けていないのだろうか。気になっても彼の下半身を確認する勇気はなく、混乱から寒くないのだろうかと余計な心配をしてしまう。春歌は硬直したままその逞しい胸板から目が逸らせなかった。
 そんな春歌も朝の肌寒さを感じ、まさかと思いシーツの中の自分の体を見て愕然とする。そこで漸く春歌は自分が裸でいる事に気がついた。更にその身体を抱き締めているのは、色気たっぷりのオプションをふんだんに取り付け、美しい胸板さえ晒した真斗その人。
 ぼふんと頭が蒸発していく気がした。栓が抜けたように弱々しい声が無意識に漏れたが、こんなに力ない悲鳴は自分でもはじめて聞いた。
 思考がごちゃごちゃと混乱する中で、不意に真斗が春歌の頬に触れた。長く綺麗な指先が頬をなぞり、唇を撫でられる。
「ひゃ、あ、あの……っ」
 朝からやわやわと淡い刺激を受けて体がぴくりと反応を示してしまう。そんな自分にも真斗の眼差しにもおののき俯くが、長い指にすぐに顎を捕えられ、簡単に視線を絡めとられる。気づいてももう遅く、何かを探るような瞳に見つめられるともう逃れられない。助けてほしくても、それが愛する真斗だからどうしようもない。どきどきと張り裂けそうなほど高鳴る鼓動が全身を熱くしていく。
「お前……」
 息のかかる距離で不意に話しかけられたその時、固い扉の向こうから微かに誰かを呼ぶ女性の声が聞こえた。この部屋自体も広く、壁も扉も厚いようなので、春歌にはその声の持ち主もその人が何を言っているのかもわからなかったが、真斗はすぐに顔を顰め、扉を睨み付けた。
 扉や部屋を初めて見渡して、ここが自分の寝室ではないとやっと気がついた。昨夜真斗と共に一緒に寮の寝室で眠りについたあれは夢ではない。では今まだ春歌は夢の中だろうか。だとしてもここは何処だろう、知らない部屋に何故裸で眠っているのだろう。わからない事だらけで泣きそうになる。
 真斗は罰が悪そうに息を吐くと、何もできずに固まっている春歌を抱え、寝台の上をくるくると転がり、まとわりつくシーツごとそのまま緩やかにベッド脇へ降りた。
「きゃっ」
「っし」
 彼を下敷きにしてしまう形であったが、段差の下へ落ちた衝撃で不意に声が出てしまった。その声を咎め、真斗は大きな手のひらで春歌の口を覆う。そして春歌を抱えたまま体を反転させ上に乗り、真斗は彼女の動きを封じた。
 互いの肌が直接密着しあい、知らない場所で強引に抱き締められ組み敷かれ。口を塞がれていなければ叫び声を上げていたかもしれない。だが部屋の前に誰かがいる今、もし叫び声を上げていれば不審に思ったその人が今のふたりを見つけて騒ぎになる。いつもより強引な彼の行動のお陰でその事態は免れた。
 だが得体の知れない色気を纏った真斗にこのように抱かれ口を塞がれ、かつふたりは裸で、誰かに見られるかもしれないなんて状況は、春歌には刺激的過ぎて心臓が破裂してしまいそうだ。
 カチャリとドアノブが捻られゆっくり扉が開いていく音に、真斗は眉間のしわを濃くさせる。それに春歌もひやりとし、静かに響く扉の音に耳を立て息を潜めた。春歌からは扉が見えず部屋の間取りも把握していないので、入り口からベッドの距離も見え方もわからないが、扉が開かれる音に焦りの表情を見せ身を屈める真斗の様子に春歌の心臓が跳ねる。上に乗った真斗が身を屈めると言うことは、更に身を寄せてくると言うことで。背後は床、上には真斗に挟まれ逃げ場のない春歌は、耳元に吹き込まれる彼の吐息に身を硬直させる。
「おはようございます、起きていらっしゃいますの?」
 これまた馴染みのない声が聞こえた。十代半ば程の少女の声。可愛らしく控えめでありながらも、凛と澄んだ通る声色は少し誰かさんに似ている気がした。扉を開けたのは彼女だろう。その隙間から部屋の様子を窺っているのか、声はやや遠い。どうかそのまま立ち去ってほしい。
「? ……失礼しますわ」
 ふたりの願いも届かず、不審に思ったその少女が更に扉を開く。微かな靴音がゆっくりと部屋に入ろうとしたその時。
「お嬢様っ! そろそろ出なくては、お約束に遅れてしまいますぞ! このじいめがお嬢様を責任もって送らせて頂きますゆえ」
 聞き覚えのある老人の声が大きく響き、春歌は目を見張った。真斗の実家である聖川家に仕えている元気な執事の姿が脳裏に浮かぶ。張りのある元気な声が入室しようとする少女を制止しているようだ。
 しかし今、お嬢様と、言ったか。
「……仕方ありませんわ……。もう、今朝は送ってくださるってお約束でしたのに……」
 心底残念そうだったが、聞き分けの良い性格らしく、少女は扉を丁寧に閉めて行った。
 その音を確認すると、静まり返った部屋で真斗は深くため息を吐いた。
「……すまんな」
 扉に向かって呟く真斗。その僅かにほっとした様子に春歌も息を吐きたかったが、上に真斗が乗っていること、口を塞がれていることを意識してしまい、まだ緊張は解けそうにない。
「ん? ああ、苦しかったか?」
 顔が赤かったのだろうか。真斗はそう言うとすぐに春歌の口を覆っていた手をどかしてくれた。このまま体も解放されるのだと思っていたが、真斗は跨がったまま床についた腕の間に春歌を閉じ込め、じっと見下ろしている。
「あ、の……」
「……………」
 また逃げ場のない状況に追い込まれ、春歌はとりあえず露にされた胸を必死に隠した。目を合わせてはぱくりと食べられてしまいそうでぎゅっと目を伏せる。
「ちちち、近いです……っ!」
 彼の沈黙と刺すような視線が耐えきれず、なんとか声を搾り出す。見るからに機嫌の悪そうな真斗は、春歌が頑なに乳房を隠している細腕を掴み、ぐいっと顔を寄せ密着してきた。
「きゃぁ! あのあの……っ」
「……この程度の密着で恥じらうな」
「え、え……? ごめんなさい……」
 春歌にとっては彼の前で肌を晒しているだけで恥ずかしいのに、裸で触れあい顔を近づけるような行為は真斗にとってこの程度なのだろうか。手を触れ合わせる度、ふたりして顔を真っ赤にさせ、照れながらも春歌に笑いかけてくれるあの真斗ではないのだろうか。同じ気持ちを分かち合っていた彼ではないのか。
 春歌の謝る言葉も聞かず真斗は立ち上がり、傍の椅子に掛けられていたズボンとシャツを手に取った(そこで気がついたがやはり下も何も穿いていなかった)。
 行動を妨げられていた物が漸く無くなったので、春歌も上体を起こし、素肌を隠す為、ベッドから落ちてしまっていたシーツでくるりと身体を覆った。乱れていた髪も撫でつけ、視界の端でちらりと真斗を窺う。
 下着とズボンと穿き、カチャカチャと鳴るベルトを締めながら部屋を横切る。後ろの髪もはねさせたまま歩き回る真斗は見慣れたものではなく、つい瞠ってしまう。気にしない様子の真斗は、事務所の寮には置けないような大きな冷蔵庫から水を取り出し、コップに注ぐとごくごくと喉を鳴らして飲んだ。コップを置き息を吐くと、肩に預けていたワイシャツに袖を通し、自分の身支度を見つめている春歌に視線をやった。
 目が合うと春歌はびくりと肩を跳ねさせ、白いシーツを握り締める手に視線を落とす。
「……それで?」
「え……」
「その姿はなんだ。俺が寝ている間に、いったい何があったと言うのだ」
 真斗の言葉に春歌ははっとした。そうだここは一体何処で、目の前の大人の姿の真斗やこの状況は一体何なのか。真斗は春歌に何があったと聞くが、色々聞きたいのは春歌の方だ。
「えっと、あの……」
 ボタンを留め終え、部屋の端の洗面台に足を伸ばす真斗の動作ひとつひとつにびくつきながら、何もわからない春歌は質問を返した。
「ここはどこでしょうか……」
 春歌が見たこともない大きなベッドに、見るからに高級感の漂うホテルのような広い部屋。丸裸で動き回っていた真斗の様子から、恐らく彼の自室であろうことは察した。全てがその部屋の為に作られ置かれているかのように立ち並ぶ家具にさえ、まるで見張られているようで春歌は身を固くしてしまう。財閥の御曹司である真斗はこんな部屋の中でも堂々と、それが当たり前だと言わんばかりの様子でそこにいるので、春歌は助けを求める場所を失い、これまた一枚数十万しそうな(実際は数千単位でも春歌にはそう見えた)シーツを握り締めるしかなかった。
 春歌の質問を聞いていたか聞いていなかったかわからないが、顔を洗い、清潔そうなタオルに顔を押し付けていた真斗は何かを理解したらしく、また眉間にしわを寄せ深くため息を吐いた。
「……その姿はまずい」
「っ、……え?」
 鏡越しに見た彼は相変わらず読み切れない無表情。恐らく春歌が知る17歳の真斗よりいくらか歳を重ねた姿だと見て取れるが、どんな状況にも冷静なところは変わらないらしい。
「お前はどう見ても10代の身体をしているが、本来は26歳。そんな姿でこの家の者に見つかればいったい何を言われるか……」
「に、にじゅうろくっ!!?」
 どうと言うことなく朝の身支度をしながら話す真斗の言葉に驚き取り乱した。想像もつかない大人の自分をぼんやりと思い浮かべて頭を抱えるが、頭の中に描いた春歌も同じようにあたふたとしていて、自分は自分だと思った。
「お前は何歳だ」
 尚も此方に見向きもせず、整髪料で髪を整えながら、真斗が尋ねる。
「え……16歳です」
「……そうか。と言うことは、お前にとってここは10年後の世界と言う訳だな」
「どどど、どうして……!?」
 春歌にとっては周りの全てが変わってしまったように思えていたが、その周りからして見れば春歌の方がイレギュラーなのだ。真斗が言うように、ここが10年後の世界であれば、本来ここには26歳の春歌がいなければならないはず。それが目を覚ませば若返っているのだから、真斗が不機嫌になるのも無理はない。少なくとも不可思議な事態に陥って笑っていられるわけがない。
「さぁ、な。俺が聞きたい」
 それにしても彼のあの平然とした表情。こういう時、妙に冷静に対処が早いのは真斗の良い所でもあるが、その様に春歌は調子を狂わされる。
「不安なのはわかるが、かと言ってお前を仕事に連れて行く訳にもいかんな」
「えっ、あの、これからお仕事なんですか……?」
「当たり前だ」
 一通り支度を済ませたのか、真斗は丈夫そうな革の鞄を掴み、中身を確認する。机の上の携帯電話をズボンのポケットに押し込み、背の高い大きなクローゼットから背広を取り出すと、やや慌てて腕時計で時間を確認する。
 その姿は立派に社会に生きる男性そのもので、大人の彼も逞しく生きているんだと一瞬感動を覚えてしまった。だがひとつだけ、心にひっかかった事がある。
「とにかく、俺はもう行かなくてはならん」
 ただ、芸能人らしくはないな、と。
「……」
「お前はこの部屋から一歩も出るんじゃない。家の者にも、今日は部屋に入らないよう指示をしておく」
「は、はい……」
「誰にも入るなと言っているのだから、あまり物音は立てるなよ」
「あの……わ、私」
 知らない場所に取り残される不安から、さっと立ち上がり、足早に扉へ向かう真斗を思わず追っていた。それに気づき、真斗はドアノブに手をかけ、シーツを纏った春歌に振り返った。
「夕方までには帰る。それからゆっくり話そう。食事なら、奥のキッチンを好きに使って構わん。……それから服か。此方のクローゼットとその白い箪笥の中から使ってくれ。何でも着ろ」
「あ、ありがとうございます。でもこれって……」
 真斗が指差す家具を一瞥してから有り難く頷いたものの、それは誰の持ち物なのかと考える。先ほど真斗が手の背広を取り出したクローゼットとは違うらしい上、その家具は女性が普段使いやすいよう施されていた。
「全てお前の物だ。構わん」
 躊躇っているとすかさず真斗に説き勧められ、何も言えなくなる。真斗の物でなく、彼の部屋に女性の物が置いてあるとなればそれは春歌の物なのだろうが(自惚れではあるが)、自分が使用した覚えもない物を「お前の物」と言われても、かなり複雑だ。
「ではな」
「あの、行ってらっしゃい」
 背を向ける真斗に、気がついたらそう言っていた。こんな非常時に何を言っているのか。
 はっとして口に手を当てていると、真斗は扉に向かったまま、捻ったドアノブから手を離した。
「まったく……悠長なことを言っている場合か」
「ご、ごめんなさい」
 確かにそう言われても仕方がないだろう。だがその台詞も、此方に振り返ってくれない広い背中も、春歌の知っている真斗よりだいぶ冷たく感じてしまう。春歌は目が覚めてから謝ってばかりだ。
 呆れたのか、またため息を吐く真斗の機嫌を余計損ねてしまったと気を落としていると、そっと彼の大きな手が頭にのせられた。あまりに優しい手のひらに驚き、恐る恐る見上げると、困ったように眉を寄せた真斗が春歌を撫でていた。まったく……と小さく呟きながら、手触りを確かめるように髪を絡めとる指先から暖かさが伝わり、不思議と心が和らぐ。それはきっと春歌のよく知った、間違えようのない真斗の手だからだろう。
「行ってくる」
「あ……はい!」
 漸く柔らかい表情を見せてくれた真斗に釣られ、春歌も大きく返事をして見送った。
 ぱたんと扉が閉められると、カチャンと施錠された音がした。出入りはするなと言っていた彼の言葉を思い出し、そっと滑らかな戸の表面に触れる。
 大人になった真斗、未来の世界。それが本当だとすれば、どうして自分がここにいるのか。この世界の春歌は何処へ行ってしまったのか。自分は元の時間に帰れるのか。帰る時間の……17歳の真斗の元に帰れるのか。
「真斗くん……」
 ただただ恋しくなる。きっと春歌がいなくなって心配してくれているに違いない。聖川家の敷地内で迷い込み、ヘリまで使って捜索してくれたあの時のように大事になっていたらどうしよう。
 扉にこつんと額を預ける。まだ頭が混乱している。少し落ち着いて状況を整理しよう。
 この時間の、未来の真斗についても。起きてから少し会話をしただけでも思う事は幾つもある。ショックが大きかった事と言えば、少し素っ気なかった事も、プロのアイドルになっているはずがそれらしく見えなかった事。
 何より、一度も名前を呼ばれなかった。
 真斗の態度や、先ほど部屋を訪ねて来た女性を思い出して、嫌な疑問や不安が広がる。何でも着ろと指差されたあの洋服箪笥も、本当は春歌の物ではないのかもしれない。何よりこの時間の、26歳の春歌は何処にいる。もしかすると何か事情があって、何か問題があって、未来のふたりは。
「……っ」
 未来の事など考えても仕方がない。とりあえず今は、真斗が帰ってくるまで身を潜めて待つしかない。彼から話を聞いて、どうすれば良いのか一緒に考えてもらおう。
 冷たく感じても根元は春歌の大好きな優しい真斗であるはず。未来に何が起きているのかわからないが、今は頼るしかない。
 春歌は不安な気持ちを振り切るように首をぶんぶんと振って、ぱちんと頬を叩き、ひとり気合いを入れた。


To be continue...






2014.03.28. とばり




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