*アリーサ・ルノヴァ

・sample 1

……うん、あー……そうだね。僕もそう思う。うん、……いいよ、……えっ?
(中庭のカフェテラスの一角、店内の端の席に同行者と向かい合って座しているが、先ほどより口数が多いのは明らかに同行者の方で。自身はといえば携帯端末のアプリゲームに興じており、同行者の話を聞いているのかいないのか、気もそぞろに相槌を打ちながら片手で遊戯に勤しむ傍ら、ローズヒップティーが注がれた白磁のカップに口を付け。鮮明に赤く色付いた液体を一口分飲み下してカップをソーサーに戻す間も、異色の虹彩は携帯端末の液晶ディスプレイから微動だにしない。それでも合いの手を返すのは忘れずにいたが、無意識に許諾した直後に視界に伸びてきた相手の手が己がハーブティーと共に注文したザッハトルテの上に乗る、封蝋を模したチョコプレートを掻っ攫っていったなら、知覚した光景の処理に数秒を要し)
……確かに言った、けれど……分かった、ごめん。今はゲーム止めるから、そっちのも一口くれても良いんじゃない?
(許可は得た、との相手の言い分に少し前までの己の反応を思い返す。内容を正確に認識してはいなかったものの、了承の返事をしていたのは他ならぬ己自身なれば無自覚の失言にこめかみに白い指を当てて息を吐き出す。事の起こりは相手をおざなりにし過ぎた自分との意識もあるなら責め立てることはなく、謝罪の句を連ねて再度液晶に指を滑らせる。ディスプレイの表示を切ったなら銀のフォークを右手に取り、櫛状に三又に分かれた先端部を向けつつにやりと唇に勝ち気な笑みを乗せ)



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・sample 2
coming soon...



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