◇ Sample ◇

*花山院史臣

・sample 1

もう、そんなに落ち込んだ顔しないで……と言っても無駄なのよねぇ。だったら……。
(普段とは異なり落胆した様子を見せる使い魔に声を掛ける。発端は腕に負った擦過傷なのだが、ごく軽く皮膚を傷付けただけのそれは自ら発動した治癒魔術で最早跡形もなく消え失せている。それでも使役される者としての矜持があるのか、消沈した彼女の気が晴れない様子に細い眉を八の字に垂らして嘆息したものの、何やら思い付いた様子で腕を伸ばし)
アタシが満足するまで腕の中で可愛がられるコト。嫌なんて言わせないわよぅ?
(使い魔の腕を取っては引き寄せると、己の脚の間に座らせて胴回りに腕を回して逃げられないように捕獲。苦情もあろうか、開きかけた使い魔の色付いた唇に人差し指を押し付ける表情は、明るく語尾が跳ねる声色と合わせて茶目っ気を含み)



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・sample 2

(学園の校舎内に設けられた自身の執務室。ぐるりと窓際に設置された己の背丈よりも高く天井まで届こうかという木製の書架には壁には所狭しと魔導書が詰められて、部屋の中央には仮眠にも用いる来客用のコンパクトソファーとローテーブルが置かれている。木目調のローテーブルを挟んで向かい合うソファーに腰を掛け、相対する教え子の持ち込んだレポートを片手に黙して暫し紙面に視線を走らせていたが、数回顎を跳ねさせるように頷いてから紙の束を机上に戻し)
――ん、だいぶよく書けているわ。でも、ここの術式が間違ってる。それから、ここも。
(神妙な面持ちで己を見やる生徒と一度目線を合わせると、表情を和らげて薄く笑みまずはここまで書き綴った努力を評し。それからやや前傾姿勢で紙面を覗き込み、紙を手繰る指先は捲ったページの先の一箇所を指し示し、続いて間を置いてから左下方にも人差し指を乗せ、トントンと爪先で紙面を叩き)
まだまだ、詰めが甘いわねぇ。



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