◇ Sample ◇

*アデルバート

・sample 1

(ここに召喚されてから暫く、生活拠点としている契約主の寮の自室。陽が昇ってから静かに寝室を抜け出し、辿り着いたリビングの硝子窓を覆い隠す遮光カーテンを一気に横へ引くと、透明な窓硝子越しに、燦々と輝く太陽に照らされた豪奢な学園校舎の一端が伺える。窓から目を離し、踵を返して収納や流し場、コンロが一体となった台所へと向かい、備え付けの食器棚を開いてはお世辞にも静寂とは無縁の物音を立てながらも水で満たした湯釜を火に掛けることに成功してから一息つく。その矢先に先程まで眠りに就いていた主人が姿を見せるや、緩く小首を傾げ)
おや、遅いお目覚め……?ふむ、それはすまない。けれど、いつまでも惰眠を貪るのは感心しないな。
(本日は授業のない、所謂休みの日であるなら睡眠を妨げられた相手からの文句は尤もなもの。短く謝辞を口にすれども、精勤を良しとする性質なれば悪びれた素振りどころか小言を返しながら指を鳴らすと、キッチン台の空いたスペースに私物たる白磁器のティーセットが召喚され、それらの茶器に目を落とし)
早く顔を洗って来ると良い。その間に、お茶でも用意しておこう。



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・sample 2

……止めろ。その目がこちらを向くだけで気分が悪くなる。
(本来は視界に収めることはおろか、同じ空気を吸うことすら厭う、種族柄何よりも嫌悪する存在を前に、表向きのにこやかさを保つ努力もなく、眉間に深い皺を刻み、分かりやすく表情を歪めては言葉を紡ぐ声色も低く険しいもので。純潔を穢し、不純を司るとされる二角獣が同じ主人の召喚獣として使役されているのは何の因果か、今すぐにでも鋭利な角を突き刺して生命の灯火すら消し去りたい衝動を袖口を握り締めることでぐっと耐え)
お前みたいなのでも傍に置く主の寛大さには頭が下がる。百害あって一理なしだろうに。



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