「スネイプ先生は真面目にやってたら何も言わないわよ」
「違うの、私ね筆記は得意なんだけど調薬が苦手なのよ。ボーバトンじゃなかったのよ」
「あら、まあ気楽にやったら良いんじゃない?」
始めての魔法薬学の授業、失敗なんてしたくないな。メアリーの横に座ると、前にセルシーと取り巻きの一人が座った。
「また会ったわね、ジュリア。それにメアリー。
さっき聞こえたわよ、調薬が苦手なんだって?
私、薬学は得意なのよ、ちなみに学年でいつもTOP10にいるのよ。」
キャハキャハ、と笑うセルシー。何でも聞いてくれてちょうだい!それをジョシュ君にちょっと言ってくれるだけでいいのよ、と下心たっぷりに言うとちょうどスネイプ先生が来られた。一通りの説明を終えられると、私の方にいらっしゃった。
「Ms.ウィンドボナ、今日は一人で調合しなさい。首席の君ならば余裕だろう。」
もちろんです、と答えるメアリーは自信たっぷりだった。
「Ms.ウイルソン、君も一人で調合してみなさい、君の実力を知りたいのだ。困ったことがあれば、私かMs.ウィンドボナに聞くと良い。」
返事をするとスネイプ先生は他のテーブルへ行ってしまった。メアリーが首席ということを聞いてセルシーの顔が青ざめていったのは見なかったことにしよう。
「メアリースゴいわ!貴女って首席だったのね」
「そうかしら?
まあ頑張ってるもの」
ニッコリと笑うと材料の下準備を始めていく。さすが首席と言うだけあってメアリーの手さばきは早く、私も頑張らないと、と良い刺激を受けた。
上手くいかないときはメアリーや巡回に来たスネイプ先生に教えていただき、一応形だけは出来たと思う。提出をすると割りと早い段階だったのか、半数も薬瓶は並んでいなかった。
スネイプ先生はMs.ウイルソンは残っていたまえ、と言うとベルが授業の終わりを告げた。メアリーは廊下で待っていてくれるらしい。
美しい髪だ、独り言のように呟くと先生はまるで失言を隠すかのように咳払いをなさった。聞かなかったことにした方が良いよね。
「Ms.ウイルソン、君には才能がある。今はまだまだだがこれから努力すれば君の強みになるに違いない。もし良ければ個別指導をするが、いかがかね?」
「よろしいんですか?」
一つ咳払いすると、君が望まないのならば良いが、と呟いた。
「そんな、もちろん
喜んで受けさせていただきます!」
先生の口角が少しだけ上がったような気がしたのは私だけの秘密。詳しい連絡はまた後日、ということで失礼してメアリーに報告にいくとすごく驚いていた。
「去年卒業した首席の先輩は先生の個別指導を受けて世界トップクラスの研究機関に就職できたらしいわ!ジュリアってスゴいのね!」
と、祝福の言葉をくれた彼女だけど私呪文系の方が得意だから、こっちは負けないわよ!と闘志を燃やすメアリーは素敵だった。