Short | ナノ





先生が亡くなってから、もう半世紀がすぎてしまいました。
たくましいあなたの腕に抱かれたのは、ほんのつかの間でした。
天国に行ってしまった先生は、今どうしていますか。元気にしてますか。
私も宇宙船に乗って先生のおそばに行きたい。
先生はあの頃のままなのに、私は傘寿を迎える年です。
おそばに行った時、お前は誰だ、なんて言わないで下さいね。
よく来たと言って、あの頃のように寄り添って座らせて下さいね。
お逢いしたら娘夫婦のこと、孫のこと、また、すぎし日のあれこれを話し、思いっきり、甘えてみたい。
先生は優しく、そうかそうかとうなずきながら、慰め、よくがんばったねと、ほめて下さいね。
そして、そちらであの頃のように美味しい紅茶を入れてくださいね。
約束した日本旅行へ行って四季のうつろいの中を二人手をつないで歩いてみたい。
私はお別れしてからずっと、先生を思いつづけ、愛情を支えにして生きて参りました。
もう一度先生の腕に抱かれ、ねむりたいものです。
力いっぱい抱き締めて絶対離さないでくださいね。









「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -