「ねえ、せんせ」
甘えた声をあげるのは、私の可愛い恋人。なんだ、と返事をするとアリスは持っていた本をパタンと閉じた。
「私、先生のこと好きじゃないわ」
羽ペンの先でインクが洪水のようになるのは、この際どうでも良い。恐らくハッフルパフの誰かのレポートであろうから。
「ど、うしたのだ」
動揺して言葉が揺れる。平静を装うつもりが隠しきれてないのが自分でも分かる。
「好きじゃないの、愛してるの」
しんみりと彼女は呟いた。
「私も君を、アリスを愛している」
すんなりと口から出た言葉と共にアリスを抱き締めた。相変わらず小柄な彼女を抱き締めるとまるで幸せを抱き締めているような気分になった。