シンタロー 『ごっしゅじーんっ!』 「………なんだよ」 スマホの液晶画面の向こう側で、やけにニッコニコと笑っているナマエに、悪態をつく。 テンションが高い(いつものことだが)時のコイツは、ろくなことを考えちゃいねぇ。 元から三白眼なうえ、ダラけきったニート生活(笑)のせいで隈が出来た(多分)睨まれたら怖ぇはずなのに、コイツはそれをものともしない。 どれだけ俺のスマホやパソコンに侵入するのを防ごうとも、コイツは必ず画面の中に居るのだ。 あぁ、一体今度は何なんだ。 『ご主人、このフォルダ開けてみてください!』 「あ?ーーってまた何か増えてる!?」 コレコレ、と指を指しながらニヤニヤを隠しきれていないナマエ。 ……何企んでんだ、コイツ。 おそるおそるタッチしてみると。 ーーパーンッ! 「!?」 『ブフォッw』 何故かクラッカーの音がした。び、ビビらせんじゃねぇよ! そしてナマエは「ごw主w人wwwビビりすぎですよwww」と腹抱えて笑ってやがる。ヒィヒィうるせぇ!笑うな! 「……なんだこれ、アルバム?」 表示された画面には、見覚えのある写真の数々。 皆で行った遊園地、皆で過ごしたアジト、メカクシ団との思い出達。 そして、所々には、紫、緑、黒、白桃、橙、青、水色、黄緑の文字色で落書きがされている。 それに共通するのは、『HAPPY BIRTHDAY!!』のスペル。 ………え、誰の? 『もう!ご主人ってば!今日が何の日か、覚えてますか!?』 「は? ……ぁ」 混乱する俺に見兼ねたナマエの言葉に、ふとカレンダーを見ると。 4月30日 ーー俺が、この世に生まれた日。 『ハッピーバースデー!ご主人!!』 普段からは想像もつかない、悪意の欠片もない、心からの笑顔。 ………エネミーに心からっていう表現は、アリなのか? 「お、おう…」 だが、それを言ってしまえば空気を壊しかねないので心に仕舞っておく。 『ご主人に気付かれないように色々と準備するの大変だったんですよ〜?』 そう良いながらも、何処か嬉しそうなのは否めない。 「………ありがとな」 『!』 頬をポリポリと掻きながら小さな声で礼を言う。照れ臭くて仕方がない。俺の言葉に驚いたのか、ナマエの表情は間抜けで(こりゃ滅多にお目にかかれないな)、本当に人間らしい奴だ、と思う。一体誰がコイツを造り出したんだか。 だけど、その人には感謝するよ。 「なんだかんだ言って、いつもお前の底無しの明るさに救われてたんだ。 ーーナマエ…お前がいたから、俺は立ち直れたんだ」 ナマエが居なかったら、俺はまだ過去にとらわれたままで、外の世界に目を向けることがなかったかもしれない。 『な、何言ってるんですか!私なんかが居なくてもご主人は立ち直れてますよ、きっと!ご主人は強いんですから!なんてたって、ご主人は赤色のヒーローなんですからね!』 エッヘン、と自分のことでもないのに誇らしげに語るナマエに、少し苦笑する。 俺みたいな奴をそんな風に言うのはお前ぐらいだ。 本当に素直じゃない奴。 それはご主人にも言えることですよ? うっせ。自覚はしてんだよ。 私だって分かってますよ。ただ、直すのは不可能なんです。 ………何でだよ。 …だって、めんどくs 何が不可能なんだよ!直せないじゃなくて直さないの間違いだろーが! バレちゃったらしょうがないですね! テメェエエエエエ!!!! 『ーーほら、ご主人!急いでください!誕生日パーティー、遅れちゃいますよ!』 「……分かったよ。行けば良いんだろ行けば」 SHINTARO's HAPPY BIRTHDAY!! (私が人間であって人間でないなんて) (……言えるわけないでしょう、そんなこと) ───────────── なんか最後の方暗くなっちゃいましたが、シンタロー生誕記念です。お誕生日おめでとうシンタローくん!よっ!イケニートめ!! すんません調子に乗りました。だけどシンタローへの愛は本物です!誰にも負けない自信はあだっ!ちょ、すいません!石!石投げないでぇえええ!! というわけで(どんな訳だよ)お誕生日企画第一弾はシンタローでした。ごちそうさまです。 |