これを読めばだいたいわかるんじゃないかな!

【ヒロインかもしれない。1〜2】あらすじ


 
 高卒で来生商事に入社したあたし、木内鈴鹿当年とって二十五歳。
 自分よりも年上の同僚たちにいじられつつ可愛がられ、立派な社会人になって七年目。
 場違いな受付嬢から場違いな秘書嬢にクラスアップはしたけれど、あたしのやる気と出来関係なくお子様っぽい外見と雰囲気のせいで、少しばかり周りからの風当たりがきつく居心地が悪い毎日。
 それに拍車をかけているのが、同期で上司の南条史鷹氏である。
 彼は顔ヨシ頭ヨシ大抵のことは涼しい顔で何でもできるよというイケメンスペックを兼ね備え、さらには我社社長の甥っ子でもあったりして、いろいろと人気な物件だ。
 昔は馴れ馴れしく『なんじょーさん』なんて呼んで懐いていた相手だけれど、今となっては己の無礼千万っぷりを思い出してちょっと焦っちゃったりするわけで。
 彼が専務になってから、あたしもそれなりに考えて一歩も二歩も控えて、敬うようにしていたんだ。
 ところがそんな一時疎遠になっていた専務、周りが落ち着いてヒマになったのか、最近あたしを良くかまいに来る。
 家庭持ちになっちゃった仲間とか、ふとした拍子に玉の輿を狙っちゃう女性とか、誘いにくいのはわかるから、彼氏なし暇人で気を遣わなくていいあたしを連れ出すのはまあしょうがない。
 でもちょっと人目を気にしてほしいなあ、とは思う。
 そんな感じでその日も専務に食事に連れ出されて、あたしとしては敷居の高い高級ホテルでタダ飯をごちそうになっていたんだけど――
 何がどうしてこうなったでありますか隊長! 
 雰囲気のある最上階のバーで、専務といつまでも呑みに来られるわけじゃないからなぁと自分のこれからに思いをはせていると、彼は強引なプロポーズの言葉とともに指輪を差し出し、あたしを驚愕の淵に叩き落とした。
 ――白状すると、高校出たての子どもだったあたしは、かっこいい大人な男であるなんじょーさんに淡い恋心を抱いていた時期があった。
 でも、彼はいつも、あたしなんかが逆立ちしたって叶わない、素敵な大人の女性を恋人にしていた。
 もしかして頑張れば、なんて夢を見るのもおこがましくて、気持ちはただの憧れ気のせいと、心の奥の奥底に沈めて、なんでもないふりをしてきたのに。
 友人として、気を遣わなくていい気心の知れた存在として扱われるのはよかったけれど、結婚を考える上で、そんな都合のいい相手だと思われるのは嫌だった。
 本当に想う相手がいるのに、代わりにされるのも、嫌だった。
 だけど、そうやって逃げ出したあたしを、用意周到な専務が逃がしてくれるわけもなく。
 ずっと特別に想っていたからこそ手を出せなかったなんて、ふざけたことを言われて口説かれて――怒りたかったけど、呆れもしたけれど、でも、やっぱり好きだったから。
 妹分とか、仲間とか、いろいろな言い訳をして自分をごまかしていたのは、あたしもだったから。
 否定するな、好きだ、って言葉に、頷いたのだった――


 あたしの知らない、出会ってからの彼にとっての七年間や、第三者にとって電撃と言ってもいい婚約宣言だったりとか、超特急で進められる結婚準備や婚約が気に入らない人々の邪魔立てだったりとか、彼の来生家への養子入り、南条家のいらないちょっかいによる鈴鹿危機一髪とかとか、いろいろなことを乗り越えて。
 木内鈴鹿改め来生鈴鹿、南条史鷹改め来生史鷹、このたび結婚いたしました!
 

結婚式篇・蜜月旅行篇・新婚篇につづく。

 

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