▼ 私にしなよ
「ミヅキー!!」
「あれ、ななし。どうしたの?」
私はミヅキを発見するなり、走り出した。
今日付き合ってた彼に振られたので慰めてほしい、愚痴を聞いてほしいと思ったからだ。
「聞いてよー!今日彼に「ごめん、お前とはもう無理なんだ」って言われた―!」
「はいはい。じゃあポケモンセンターのカフェスペース行こうか」
ミヅキはそう言って、私をポケモンセンターへ連れて行った。道中野生のポケモンを倒してきたし回復も済ませるか。
「で、どうしたんですか」
「あのねあのね、彼とはうまくいってたと思ってたのは私だけなのかなあって……」
私は半泣きべそになりながらミヅキに愚痴を吐き出していた。ミヅキはパイルジュースを飲みながら「うんうん」と相槌を打ってくれている。
対する私はエネココアをちびちび飲みつつ、涙をだらだら流している。酷い顔だ、と思われてるだろう。
「もうあの彼のこと忘れましょうよ」
「そうしたいけど、忘れたいけど忘れることができないんだよお……」
私はぐすぐす泣きながらミヅキにすがる。ミヅキ、ごめん。
「もう、過去のことは忘れましょう。過去の恋愛をいちいち引きずっていたらやっていけませんよ」
「そりゃそうだけどさ」
「私でよければ話くらいは聞きますよ」
ミヅキは私の頭を撫でながら、こういった。なんだろう、今のミヅキが頼れるお姉さんに見える。私より年下なのに。
私は「ありがとう……」と呟きながらこう続ける。
「じゃあ、ミヅキが新しい彼氏だね」
「私女ですよ」
「わかってるって。冗談」
私はそう言うなり、エネココアを飲み干した。
「でもななしさんが困っていたら助けますよ」
ミヅキはそういって笑った。私も思わず笑ってしまう。
まあ、ミヅキなら気が楽かもしれないと思うのだった。
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