ポケモン | ナノ
▼ 〇〇しないと出られない部屋

今日、私とキバナは倉庫の掃除しにきていた。倉庫もまめに点検しないと埃まみれになる。ということで定期的に私とキバナが掃除しに来ていた。

「ふー、これで終わりかな」

私は汗をぬぐいながら周りを見回す。なんとか掃除したとはいえ綺麗にはなった。
そのまま倉庫を出ようとした時、ドアが開かない。おかしい、鍵はかけてないはずだ。
ドアを押しても引いてもビクともしない。むしろ何も起こらない。
これはもしかして……閉じ込められたというやつか。

「いや、まさかね……ははは」
「窓も開かねえみたいだな」
「えっ、マジ?」

私は思わず固まった。これは完全に閉じ込められたらしい。
もしかして誰かカギをかけてしまったとかと考えたが、掃除してる最中に人が通った気配がない。窓は内側から開ける仕様になっている。
だとしたら誰かエスパータイプのポケモンとかでカギをかけたかもしれないのだ。だとしたら何故こんなことを……と考えているうちに何かを発見した。

「何々、メモだ……」
「おっ、どれどれ」
「ちょっ、キバナ!近い!」

私に寄り掛かるようにキバナが肩を寄せてくる。ちょっと苦しいがメモを読めるくらいには支障はなかった。
メモにはこう書かれていた。「持病があることを告白してください。1分20秒以内でね」と。

「持病?そんなのないけど……」
「オレさまも持病にはかかってないが」

私とキバナは顔を見合わせ、首を傾げた。持病を打ち明けろと言われても私もキバナも持病にはかかってない。
むしろ2人共健康体だ。どうしろというのだ。

「これ、どうしようか」
「……ななし」
「何?」
「実はオレさま、ななしが好きすぎるという持病にかかってるみたいなんだ」
「えっ」

いきなり真顔で何言ってるのだ、この男は。私のことが好きすぎる持病って……。
ここから脱出するために嘘を言ったのかもしれない。だとしたらそんな唐突には出てこない。
私は「またまた冗談を」と笑ってごまかそうとしたがキバナの目は真剣だ。嘘を言ってるようには見えなかった。

「まさか、これって本当?」
「ああ。嘘ならこんな真剣な顔にはならねえよ」
「……ええっ!」

私が驚くと同時にキバナが抱きしめた。思わずだったので私は「わぷっ」と変な声が漏れる。
このままキバナの抱き寄せられること1分、ドアが開いた。

「キバナ、ドア、開いた」
「……もう少しこうさせてくれ」
「……」

このまま私とキバナは抱き合った。ドアの外では空は暗く染まり、アーマーガアが鳴いた気がした。



キバナとあなたは『持病があることを告白しないと出られない部屋』に入ってしまいました。
80分以内に実行してください。


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