▼ 〇〇しないと出られない部屋
私が目覚めた場所は窓もドアもない密室だった。全体を見回してみても何もない。
強いていうなればグリーンがいるくらいか。グリーンも起き上がって周りを見回している。
「……ねえ、ここはどこだろう」
「オレに聞かれてもわからねえぜ」
それでも何かないか探してみる。すると、何かメモのようなものを見つけた。
メモには「相手のことを好きにならないと出られない部屋。1分以内にクリアせよ」と書かれていた。
いきなり謎の部屋に閉じ込めて訳の分からないお題をやれと言われてもいまいちピンとこない。グリーンにも見せてみると「なんだこりゃ」と返した後首を傾けた。
「相手のことを好きにならないといけないって……」
「つまりオレがななしを好きにならなきゃいけないってワケか」
「そんなこといわれてもどうしよう」
私が弱気になっているとグリーンがいきなり私の腰を掴み、ぐいっと引き寄せた。あまりにも急すぎる行動に私は思わず固まってしまう。
そしてそのまま私の唇とグリーンの唇を被せ合わせる。つまりこれはキスしているということだ。
「んっ、ううん、はぁっ」
「……」
グリーンの舌と私の舌が絡み合い、息もできない状況になる。苦しさのあまり声をあげてしまいそうになるくらいだ。
ディープで深い口付けをかわして行く。息はもう耐え耐えだ。
と、唇が離される。思わず私はグリーンの見つめながら、息を吐く。
「ハァッ、ハァッ……いきなり何?」
「……好きになっただろ?」
「そ、そんなこと言われたって……」
いきなりそんなこと言われてもイマイチピンとこない。好きになった?と言われてもまだそんなピンとこないのだ。
グリーンのことはあまり意識したことがなかったけどこういう風にキスされるのは嫌でもなかった。
前々からグリーンは気のいいやつだったし、優しくしてもらったことや厳しく言われたことがある。なんだかんだでいいやつなのだ。
そんなグリーンのことが嫌いではなく好きだったのかもしれない。あれ、私、意識している……?
「い、いや、そんなことは……」
「ホントか〜?お前も気持ちよかったじゃないのか?」
「うっ」
グリーンの指摘に私は思わずドキっとしてしまう。もしかしたら好きなのかもしれない……と思ったその時、ドアが現れた。
どうやらお題をクリアしたと見なされたらしい。私はこのまま立ち去ろうとする、がグリーンが私の手を掴んだ。
「ちょっ、離して」
「このまま離してやるかよ」
「わぷっ」
このままグリーンの胸へ抱き寄せられる。グリーンの心臓の音が聞こえているような気がする。
私はグリーンに抱き寄せられるままグリーンにもたれ掛かる形になる。今、私の顔は真っ赤だ。
「……グリーン」
「なんだ」
「好きだよ」
「おう」
このまま私とグリーンは時間の許すまま抱き合うのだった。
グリーンとあなたは『相手のことを好きにならないと出られない部屋』に入ってしまいました。
60分以内に実行してください。
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