ポケモン | ナノ
▼ チョコ・ブレイク

「……なあ、ななし」
「はい、なんでしょうか」
「今日はバレンタインって奴じゃねえか、てめえは誰かに送らねえのか?」
「……けほっ」

いきなりグズマからバレンタインの話題が出るとは思ってなかった。思わずコーヒーを吹き出しそうになる。
そりゃ確かにグズマは甘い物好きだし、部下にも慕われてるし、もしかしてバレンタインのチョコの催促だろうか。
私はそんなグズマを眺めるとグズマはなんてことない顔でエネココアを飲んでいる。くそう、しれっとしやがってむかつく。

「……そんなに私からのチョコが欲しいんですか?」
「ハッ、誰がてめえからのチョコが欲しいだあ?」
「うわあむかつく」

私が恨めしいと言った感じで睨むと、グズマは涼しい顔をしてエネココアを飲み干す。
一瞬だけチョコを渡そうか……と思ってしまった自分がバカだった。チョコはあるけどグズマに渡すのをやめよう。
そう思ってカバンにチョコをしまおうとした時、グズマが急に顔を出してきた。びっくりしてチョコを床へ落としてしまった。

「な、なんだよ」
「いや、てめえのことだからチョコの1つくらいはあるんじゃねえかと思ってな」
「あったとしてもグズマにあげるつもりないもん」
「……じゃあ、今さっき床に落としたチョコはなんだ」
「あ」

グズマは床に落ちたチョコを見ながら言った。確かに「グズマへ」とは書かれてはいる。
どうせならあげるのもやめようかと思っていたところではある。私は床に落ちたチョコを拾い、去ろうとする。

「待てよ」
「うわあ!」
「そいつは俺様がありがたくもらってやるぜ、ななしさんよ」

グズマは私の手からチョコを受け取り、もとい奪い、上機嫌で去っていった。
私は「まあ、いいか」と呟き、ポケモンセンターを後にするのだった。


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