ポケモン | ナノ
▼ 初詣

「ななし、初詣に行かないか?」
「いいけど、ジムリーダーの仕事は大丈夫なの?」

私はキバナの方を向いてそう言った。
正月とはいえチャレンジャーと戦うこと以外にもジムリーダー業はあるのだ。初詣に行ってる暇がどこにあるのだろうか。
キバナはニヤリと笑いながら私の手を引っ張った。あ、これ、意地でも連れて行くつもりか。

「ちょっと、離してよ」
「やだね。ななしは今日、オレさまと初詣に行くんだからな」
「わかったわかった! ちょっと準備するから待っててよ」
「へいへい」

私はそう言うなり、コートとマフラーを取り出した。
キバナはというとSNSを確認したり、投稿してたりしている。多分今「今から初詣」って打ってるんだろうなと思う。
私の準備も終わり、私とキバナは初詣へ繰り出すのだった。



「よし! ななしも願ったか?」
「はい。キバナは何を願った……っていつものごとしか」
「おうよ。今年こそダンデに勝つ! だな。そういやお前は何を願ったんだ?」
「それは秘密です」

そう言うと、キバナが「なに〜? 教えろってんだ」と私にちょっかいをかけ始める。
ちょっとくすぐったいが「それでも秘密だって」と私が返す。
すると、キバナがなにかを見つけたみたいで、私に手招きする。

「おみくじだってよ」
「そうだね。引く?」
「もちろんだ。ななしも引くよな?」

そう言うなり、キバナは早速おみくじを引き始める。まだ了解もしてないのに早い。
キバナが引き終わった後、私もおみくじを引いた。
早速結果を見るべくおみくじを開けたが、「吉」と書いてあった。

「結果はどうだ〜……。吉か」
「なによその反応」
「いや普通だな。そういうオレさまも吉だけどよ」

キバナは自分のおみくじを私に見せた。私の同様「吉」と書かれている。
キバナはそれの写真を撮って、早速SNSにあげている。いくらなんでも早すぎないか。
SNSにあげたかと思えば、おみくじを引っかける木に早速おみくじを結んでいる。だから早いって。

「ほら、ななしも結べよ」
「はいはい」

私もおみくじを結び、キバナの元へ戻ってくる。
キバナは私の肩をグイッと寄せ、密着するような形になる。

「ちょ、キバナ、恥ずかしい」
「いいだろ。オレさまがこうしたいんだ」
「もう」

私はキバナにもたれかかるような形で、歩き出すのだった。



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