Fate | ナノ
▼ 溺れてしまってもいいんじゃないか

「うう、フラフラする……」

調子に乗って酒を飲みすぎた。昨日はヤケになってビールを3缶ぐらい飲んだ。
普段はそんな飲まないからってイライラしてヤケになってしまったのだろう。これもすべてあいつのせいだ。

「あ、やばい、限界だ」

そう言って、私は倒れてしまった。




「……はっ!」

私が目覚めると、そこは部屋だった。周りを見てみると綺麗に整えられた衣装や本やそこに挟んである写真が目に入る。
写真は私が映っているものばっかりだった。

「もしかしてここって」
「やあななし、目覚めたかい?」

私が最後まで言葉を発する前にある人物が部屋に入ってきた。バーソロミューだ。
バーソロミューさんは水と私に手渡し、「飲んでくれ」と促した。私は水に口を付ける。

「……なんで私がバーソロミューさんの部屋にいるんですか」
「君が廊下で倒れているのを見つけてね。このままじゃまずいと思って私の部屋に連れてきたのだよ」

バーソロミューさんはそういってウィンクをする。私は水の入ったコップを置き、部屋を出ようとする。

「おや、もういいのかい?」
「介抱してくれてたことには礼を言います。じゃあ、私はこれで」
「待つんだ、ななし」

バーソロミューさんは私を背後からギュッと抱きしめた。まるで逃がさない、というように。
こうなった以上私には無理だ。諦めて抱きしめられたままの状態になる。

「……まだ怒っているのかい」
「そんなことありません。あなたの性癖にケチをつけるつもりはありませんし」

思わずムッとした口調になってバーソロミューさんを遠ざけようとする。ことの発端は先日、前髪が伸びてきたので前髪を切った。それに気が付いたバーソロミューさんが難癖をつけてきてちょっとした口論になったというわけだ。
彼の性癖にケチをつけるつもりはない。だがあそこまで言わなくてもいいじゃないか。

「先日のことは謝ろう。私も言い過ぎた」
「わかりましたよ。じゃあ今すぐ放してください」
「それはできない」

バーソロミューさんが私を抱きしめる腕を強くする。ギシッと体のどこがか軋む。

「先日のことは謝ろう。だが私は今の君も素敵だと思ってる」
「どうだか」
「嘘ではないさ」
「な、なにを……ッ!」

突然顔をクイッとバーソロミューさん側に向けられ、彼と私の唇が重なる。あまりにも唐突すぎて唖然としてしまう。
そうこうしているうちにバーソロミューさんの舌が私の口内の犯していく。息もできないその状況下、私は頭が真っ白になりそうになる。もう酒は抜けているハズなのにな。
唇が離され、私は息も絶え絶えになる。バーソロミューさんの方を見ると、まだ余裕がありそうだった。

「ず、ずるい」
「ずるくて結構。私は君を愛しているんだ」
「……ッ!」

私はこのまま床に座り込んでしまった。床を見つめているとバーソロミューさんが背後に立ち、私の耳に耳打ちした。

「このまま君を返すわけにはいかない。さあ、第二ラウンドといこうじゃないか」

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