Fate | ナノ
▼ バレンタインにおやすみ

「はい、チョコ!」
「おっ、おお、なんだ藪から棒に」

私は廊下を歩いていたクー・フーリン(ランサー)さんにチョコを差し出した。
ランサーのクー・フーリンさんは驚いた顔をして目をパチクリさせている。

「今日はバレンタイデーだと聞いたので!」
「それくらい俺でも知ってるわ!で、このチョコ、もらっちまってもいいのか?」
「はい、チョコを作るのに丸一日かかりまして」
「いや仕事しろよ!」

クー・フーリンさんはチョコを受け取り、私の肩を抱き寄せた。あまりにも突拍子だったので私の心は爆発しそうだ。
というかすでにクー・フーリンさんにもたれかかっている状況だ。

「おいおい、大丈夫か?」
「あ、はい。すぐ離れますから大丈夫です」
「遠慮すんな。どうせロクに寝てねえんだろ?」
「……その通り過ぎてなにも返せる言葉がありません」

その言葉を聞いたクー・フーリンさんは私を背中に乗せた。簡単に言うとおんぶしている。
クー・フーリンさんが「あんま動くなよ」と私に言った後、歩き出した。

「あの、どこへ?」
「医務室へ連れていく。こんな状況じゃ仕事もロクにできねえだろ?」
「い、いえ、私1人で大丈夫だから!」
「あのなあ、そんな無理すんな。あんたはまず寝てろ」

クー・フーリンさんに言われ、私は黙ってしまう。確かに今の状況で仕事に出ても他のみんなに迷惑が掛かってしまう。
その時、強烈な眠気が差し掛かる。私はクー・フーリンさんの背で眠ってしまった。

「おーい、着いたぞ……って寝てんのか」
「……すう」
「……よく寝てやがるな」

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