Fate | ナノ
▼ 灯りの先にある闇

私は今、走っていた。何かに追われているのかもしれない。
何故だか影が迫ってくる、そんな気がする。私はとにかく走り続けた。
途中職員やサーヴァント達が私の方を向いてきたが、とにかくお構いなしだ。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

何故だろう、息は切れているのに逃げなきゃと思ってしまっている。途中、誰だかわからないが「大丈夫か?」「落ち着いて」と声がしたがそれを無視して逃げてしまった。もうしわけないと思いつつ、私はある部屋に入った。
そこは倉庫だったらしく、私はひとまず暗い倉庫の中、息を切らしながら膝をついた。

「ここまでくれば大丈夫かな……」

私は明かりを探そうと部屋を壁を触ってみる。明かりのあるスイッチを見つけ、明かりをつけた。
倉庫に明かりが灯り、部屋はぼんやりだけど明かりを灯す。

「これで、なんとかしのげるかな……」

その時、強烈に眠気が襲ってきた。少しくらいなら、と眠気に任せて眠ってしまった。




「ん、もう起きるか……」

私は欠伸をして起き上がる。約2時間くらいは眠ってしまっていたのかと思いつつ、倉庫のドアを開けた。
仕事を盛大にサボってしまったことをドクターやダヴィンチちゃんに謝らないと、と一歩踏み出すと、突如影がぬっと差し込んだ。

「おや、ずいぶんと長い居眠りのようでしたね」
「……!!」

私が背後を振り向くと、2m近くある男、いや性別不詳なのだが男とだけ言っておこう。が目を細めて立っていた。
奴は蘆屋道満。最近カルデアにやってきたサーヴァントの1人だ。

「な、なんで、そこに」
「ンンンンン、拙僧から逃げるのはおしまいですかな?ななし殿」
「も、もしかしてずっと待っていたとか」
「さあどうでしょう。ともかく、ここまで露骨に避けられると拙僧も少々傷つきます」
「あっ、私、ドクターの元へいきま……うっ!」

私がそそくさと立ち去ろうとした時、突然腹に鋭い痛みが走った。腹を殴られたのだ。
私はその衝撃に耐えられず吹っ飛ばされ、壁にぶつかってしまう。

「うう……」
「ですが、これ以上は逃げないでもらいたい。拙僧は貴方と仲良くなりたいと思っておりまする」

殴っておいて何をいうのだ、この人は。私は渾身の力で道満を睨みつけると、道満はクツクツと笑った。
道満は私に近寄り、私の髪を引っ張った。ブチブチ、と髪がちぎれる音が廊下に響く。

「貴方は拙僧から逃げられないのですよ、ななし」


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