▼ ちびノブとの遭遇
「ノブノブ」
「おや、なんか見慣れない物が見える」
私が目の前を歩く謎の生物を発見した。どこからか紛れ込んだのだろうか。
じっと見てみるとどことなく織田信長さんに似ている。黒髪に特徴的な帽子といい。しかし、何故か新選組の羽織を着ているのかは謎だが。
その生物は私の方を向いた。
「ノブノブー?」
「え、あ、はい、なんでしょう」
思わずかしこまった口調になってしまう。私はしどろもどろになりながらポケットからチョコレートを取り出した。
「あの、チョコレート、食べますか?」
「ノッブー!」
私がチョコレートを差し出すと、信長さんのような生き物は喜んだ。よかった、喜んでもらえたようだ。
「美味しい?」
「ノブ」
私の問いにその生き物はこくんと頷いた。もう一つチョコレートあったかな……とポケットをまさぐる。
「えっと、なんかあったかな」
「あれ、ななしさん、何してんですか?」
突然声をかけられた。声がした方を向くと、沖田さんがいた。
沖田さんは私と信長さんのような生き物を交互に見る。信長さんのような生き物は沖田さんを見るなり私の後ろへ隠れてしまう。
「……どうやらレイシフトして紛れ込んだみたいですね」
「そうなんですか、じゃあ元の場所へ返さないと」
「ノブノブー!!」
「うわっ」
私が信長さんのような生き物を抱き上げようとすると、信長さんのような生き物は逃げてしまった。
しまった、余計なことを言ったのだろうか、と沖田さんを見る。
「ご、ごめんなさい、私が余計なことをいったばかりに」
「気にしないでください、ななしさんが悪い訳じゃないんですし」
「でも」
「まずはちびノブを掴まえましょう、話はそれからですよ!」
沖田さんはそう言ってちびノブ、と呼ばれる生き物を追っていった。私もまた、沖田さんの後を追うように走るのだった。
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