▼ 〇〇しないと出られない部屋
私が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。
隣にはなぜか岡田さんがいる。何故岡田さんとなのかはさておき、この部屋には窓もドアもなかった。
「ってこれ、噂の「出られない部屋」ってやつ!?」
「おんしゃぁ、ちょびっと黙っててくれんやき」
「はいはい。……ん、なんだこれ」
私はあるものを発見した。どうやらメモのようだ。
私はメモを拾いあげ、読み始めた。背後から岡田さんも覗き込んでいる。
メモにはこう書かれていた「どちらかが相手をお姫様抱っこする」。
「……新手の悪戯ですかね」
「なんでわしがおまんを姫抱きしなきゃあかんやが」
「じゃあ、逆に私が……」
「切り落とされたいのか?」
「すいません」
私が岡田さんをお姫様抱っこしようと提案したが、即却下された。そりゃそうか。
「どうしましょうか」
「……」
「やっぱり私が」
「やかましい!わしがおまんを抱いてやる!」
「わっ!!」
岡田さんにお姫様抱っこされ、私は一瞬フリーズしてしまった。
今、岡田さんにお姫様抱っこ状況だ。私は岡田さんの顔を見る。岡田さんはそっぽをむいているが、顔は赤かった。
「これでどうじゃ」
「なんか新鮮ですね……。岡田さんって実はいい人ですね」
「ああ?寝ぼけたこと言ってるとおまんを床に落とすぞ」
「ごめんなさい」
ギロッと岡田さんが睨みつけてきた。冗談の通じない人だなあ……。
岡田さんにお姫様抱っこされて少し経った後、ドアが現れた。
「あっ、ドアですよ!岡田さん」
「……降ろすぞ」
岡田さんが私を降ろした。ゆっくり私を降ろす。
床に着いたとき、私は立ち上がった。そのまま岡田さんの手を掴み、歩き出した。
「じゃあ、行きましょう」
「……仕方のない奴じゃな」
岡田さんはそっぽを向きながら呟いた。岡田さんの顔がちょっとだけ赤かったことは本人には黙ってよう。
そのままドアを開け、カルデアに戻るのだった。
岡田以蔵とあなたは壁に「どちらかが相手をお姫様抱っこすれば出口が現れます」と書いた紙が張られた部屋に閉じ込められました。
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