▼ 〇〇しないと出られない部屋
気が付けば、謎の部屋にいた。隣にはアキレウスさんもいる。
部屋というには窓やドアもなく、本当にただの密室のようだ。
私は横に座るアキレウスさんと顔を見合わせる。
「……どうやら閉じ込められてしまったのかな」
「らしいな。そういやお前さんが眠っている間、こんなものを見つけたぜ」
「……メモ?」
私はアキレウスさんが取り出したメモを受け取り、読み始めた。
「キスしないと出られない部屋です。180分以内にやってください」と書いてあった。最初はバカバカしいと思い、メモをアキレウスさんに返す。が、メモを受け取ったアキレウスさんはどことなく真剣な目で私を見ていた。
「アキレウスさん?」
「……悪い、ななし」
「何を……むっ」
突然、アキレウスさんの顔が近づいてきて、私の唇と彼の唇が触れた。
そう、俗にいうキスってやつだ。お題に書いてあったとはいえあまりにも唐突すぎないか。
と、すぐに唇から彼の唇が離れた。短いキスとはいえドキドキしてしまっている自分がいる。
「いきなり何をするんですか……!」
「すまん。あのメモ見てたらななしとキスしたくなった」
「はい!?」
「でも、お前さんとのキスは中々よかったぜ、ななし」
アキレウスさんはそう言ってウィンクをした。と、その時、ドアが現れた。
アキレウスさんはドアの方を歩いていく。私もアキレウスさんを追って、ドアをくぐるのだった。
アキレウスとあなたは『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
180分以内に実行してください。
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