Fate | ナノ
▼ 〇〇しないと出られない部屋

気が付けば、私とエミヤさんは謎の部屋にいた。
部屋といってもドアも窓もない部屋だ。これはいわゆる密室空間というやつだ。
私は周りを見回してみた。すると、メモが貼ってあることに気が付いた。

「何々……「どちらかが2分息を止めてないと出られない部屋」?」
「新手の悪戯かなんかだろう」
「悪戯……にしてはずいぶんタチが悪くありませんかね」

私はそう言って周りを見回す。何もないとはいえこうしてみると中々不気味だ。
エミヤさんは少し悩んだ後、私の方を向いた。

「どちらかが2分、息を止めていればよいのだろう?」
「あ、はい、そうですけど……」
「なら、私がやろう」

エミヤさんはそう言うと、黙ってしまった。
本当に2分間、息を止めることにしたのだろうか。と思いつつ、私はエミヤさんを見つめた。
元々口数はそこまで多くない人だ。黙るくらいは動作もないだろう。

(あまり口出ししてエミヤさんに迷惑かけないようにしないと)

私はそう思いつつ、私も黙った。
このまま2分間、私とエミヤさんは何も言葉を発しなかった。いや、できなかったと言ってもいい。
2分くらい経った……と思った矢先、ドアが現れた。お題をこなしたと見なされたらしい。

「……ハァッ。結構黙っているのって根気がいるんですね……」
「君は無理してやらなくてもよかったのだがね」
「いや、この流れで話しかけるのは失礼ですよ……」

私が倒れそうになると、エミヤさんが肩をグイっと引き寄せた。エミヤさんに背もたれする形になってしまう。
近い位置ではあるが、私はドキドキどころか息を吸うのに精一杯だった。エミヤさんはそんな私を見つめ、私の歩幅に合わせてドアの方角へ歩き出すのだった。



エミヤとあなたは『どちらかが2分息を止めていないと出られない部屋』に入ってしまいました。
10分以内に実行してください。


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