▼ 出会い
私は今、ある人を見ている。
つい先日召喚に応じてくれた、新宿のアサシン―――もとい、燕青さんだ。
(やっぱかっこいいなあ……)
物陰でのぞき見していたら、急に燕青さんの姿が消えてしまった。
慌てて探そうとしたら、フッと背後から影が現れた。
「おねーさん、なに見てんの?」
「ひゃぁ!!」
突然現れた影に驚きつつもその影の正体が先ほど眺めていた燕青さんだということがわかり私は急に腰を抜かし、尻餅をついた。
驚く私をよそに燕青さんは私に近づいてくる。
「すすすすすすすみません…!!」
「なんで謝るんだよ」
「勝手に覗き見してたのは謝ります!」
「別に怒ってないって」
そういって燕青さんは笑った。
その姿を見て、私はまた頬が熱くなるのを感じたのだった。
「顔赤いけど大丈夫か?」
「だだだだ大丈夫です! 心配には及ばないし燕青さんを見てただけで……あっ」
必死に弁論してとんでもないことを口走ったと思い、私は青ざめた。
そんな燕青さんは私を見て、笑い出した。
「ははっ、アンタ面白ぇなあ」
「な、なにか……?」
「アンタ、名は?」
「ななしですが……」
「気に入った、これからよろしくな!ななし」
そう言って燕青さんは私に手を指し伸ばすのだった。
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