Fate | ナノ
▼ 消毒

「あっ、血が出てる……」

私は指からにじみ出る赤い液体を見てそう呟いた。
何時怪我したんだろう、と思いつつ。絆創膏をポケットの中から探してみる。が、絆創膏は見当たらない。
指は段々とした痛みに代わり、血もぼたぼたと流れ始めている。床が汚れないようにハンカチで止血する。

「……ん?おお、おまん、何しとうせ」
「岡田さん。実は今、指を怪我したので医療室に向かおうかと」
「見してみい」

そう言うなり、岡田さんは私の持っていたハンカチを取り、まじまじと血のにじむ指を眺めた。
そんなの見たところで何も面白くはないのに。と呟きながら指を眺める岡田さんを見つめる。
岡田さんは淡々と指を眺めたまま、そのまま私の指を口に入れ始めた。

「なっ!?なにしてるんですか!?」
「消毒やき」
「でも汚いですって!」
「黙れ、汚うない」

岡田さんは私の指を口から出す。指は岡田さんの唾液まみれになっている。
指はまだ少し痛むものの、血はもう出ていなかった。岡田さんは指を眺めた後、そのまま去っていこうとする。

「岡田さん」
「なんや」
「もしかして、血を止めてくれたんですか?」
「アホぬかせ。わしはただおまんの血が美味しそうやったがやき」
「こんなこというのもなんですが、ありがとうございます」
「……ふん」

岡田さんはふい、とそっぽを向いたままこのまま歩き去ってしまった。
私は指をハンカチで包みながら、岡田さんの歩き去った方向を見つめるのだった。



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