Fate | ナノ
▼ 深く深く

※ちょっとばかし重い。燕青視点



「おねーさん、入るよぉ」

俺はそう言ってカルデアのある1室に入った。
そこには、カルデアの制服を着た女性が倒れている。否、"倒した"というか気絶させたのは俺だが。
俺はご飯のトレーを机に置き、女の頬を叩く。

「おーい、メシ持ってきたぞ」
「……」
「あれ、まだ寝てんのか? しょーがねーなぁ、起きるまで待っててやる」

俺はそう言いながらおねーさん――――ななしの頭を撫でた。
ななしは未だに反応がない。やべ、強く気絶させるつもりはなかったんだが。
頭を撫で終わると、さっきまで眠っていたななしがピクリと反応した。

「なぁんだぁ、起きてんだ」
「……ここはどこ?」
「ここは俺の部屋だ」
「!? え、燕青さん!?」
「うおっとお! 驚きすぎだ!」

俺は勢いで飛び上がったななしに驚きつつ、ななしの肩を叩く。
ななしはまだ困惑したように辺りを見渡している。可愛いかよ。
そんなななしに俺は先ほど持ってきたメシを差し出す。

「そんなことよりさ、メシでも食わねえ?」
「いや、いきなり男の部屋に連行されてご飯食べるってまだ混乱してますよ」
「そーかそーか、じゃあメシ食おうな」
「本当にいきなりですね……」

呆れるななしを前に俺は持ってきた粥をすくった。少し冷めてるが食べれるだろと思い、それをななしの目の前に差し出した。
ななしはそれを見て未だに困惑している。あーもう、まどろっこしい。

「食えよ!」
「むぐっ!」

思わずななしの口に粥を入れた。ちと強引すぎたが、別にかまいやしねえ。
ななしはこほっこほっとせき込み、粥を飲み込んだ。「美味しい……」と呟いてるななしの前に俺はまた粥を差しだす。

「ちょっ、ちょっと、待って」
「待たない」
「むぐ」

流れ作業のように俺はななしの口に粥を入れる。ななしが何か反論しようとしていたがお構いなしだ。
ようやく粥の皿が空になったところで俺はななしに水を渡した。ななしは水を一気に呑み、空になったグラスを俺に渡した。

「……あの、なんで、燕青さんがこんなことを」
「単に俺に気まぐれってヤツさ! アンタをちょっとばかしここに閉じ込めておこうと思ってな!」
「閉じ込め……!? すいません、おじゃまし」
「待たないって言ってるだろ!」
「うっ」

俺はななしの腕を引っ張り、ベッドに倒れさせた。ななしは目を白黒させ、ポカンとしている。
ななしはそれでももう一度立ち上がろうとするも俺が腕を掴み、立ち上がれないようにする。彼女は困惑しながら俺を見つめる。あー、もう、ゾクゾクするじゃねえか。

「放して……ください!」
「やだね」
「なんでこんなことするんですか!」
「何って……俺がアンタを欲しいからさ!」
「ぐっ」

ななしが変なうめき声を発したが、俺はお構いなしにキスをする。
深く、深く、逃さないようにキスをする。
暴れていたななしは次第に黙り、俺が口を離すとせき込んだ。
せき込んだななしの腕を掴み、このままベッドに倒れ込んだ。

「悪ィがこのまま逃がすつもりはねぇよ」



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