Fate | ナノ
▼ もっと食べろ

「あん? おめえ、そんだけしか食べねえのかよ」

いきなり現れた赤い髪と褐色肌の男に今食べてるものをまじまじと見られながらそう言われてしまった。
確かにご飯とサラダ、それとみそ汁といったいわゆる朝ごはん的なメニューとはいえ誰が何を食べようとも自由だが突然現れて文句を言われる筋合いはなかった。
このまま通りすぎるアシュヴァッターマンに私は文句を言った。

「文句つける筋合いはないんだけど」
「ならもっと食えや。このままじゃ倒れちまうぞ」

アシュヴァッターマンはそう言いながら隣に座ってきた。
彼の視線が痛い。なんだか蛇に睨まれたカエルのようだ。
そう思いつつフォークでサラダを掴み、口へ運んだ。

「おい、お前。ちょっと待ってろ」
「はい?」

そう言うや否や、アシュヴァッターマンは食堂にいたエミヤさんの元へ行ってしまった。
なにやら少し話した後、こちらへ戻ってきた。
手には唐揚げやとんかつといった料理の皿を持っていた。

「これくらい食わねえと体、もたねえぞ」
「いやいやそんな体に重そうな物、食べれませんよ」
「つべこべ言わず食え!」
「ひっ! 分かりましたよ、少し食べますって!」

アシュヴァッターマンの怒声で私はしぶしぶ唐揚げを1つ取った。
味はさくさくで肉厚が濃厚で美味かった。
隣にいたアシュヴァッターマンも唐揚げを食べ始めてる。

「もしかして体を気遣ってくれた?」
「あー……まァ、そんなところだ」
「ありがとう。でも全部は食べれないから後で食べるね」
「今食わねえと美味しくなくなるぞ」
「そりゃそうだけどさ」

そう言いながら私はとんかつを食べた。これも肉厚でとてもジューシーだ。
アシュヴァッターマンはそんな私を見て、フッと笑うのだった。

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