▼ あるなんてことない1日(岩融)
「届かない……!」
私は棚の上にある物を取ろうと躍起になっていた。
脚立を使うという手を考えたがあいにく使用中になっていたため、今こうして右往左往しているのだ。
「こうなったらいっそ誰かに頼むか……」
「呼んだか?」
誰かに頼もうと思ったとき、物陰から現れたのは岩融だった。
本丸一の身長を誇る彼なら棚の上の物をとれるかもしれないと思い、頼んでみた。
「ねえ、岩融、この棚の上の物を取ってもらえると嬉しいんだけど……」
「なーに、お安い御用よ」
そういうや否や、岩融は棚の上の物をすぐさま取ってくれた。
「ありがとう。よかったら、どうぞ」
棚の上の物を取ってもらい、お礼を言った後、棚の上にあったもの―――大福を岩融に差し出した。
岩融はその大福を取りお辞儀をした後、主と共に大福を食べたのだった。
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