▼ お願い事
「もう七夕も終わっちゃったんだね」
「ななし、七夕から一週間すぎてるのにまだ引きずってるの?」
私のつぶやきにアルルがつかさず突っ込んだ。彼女と一緒にいるカーバンクルはアルルの足の周りをぴょんぴょんはねている。
「まだ願っておけばよかったなって思うの」
「ななしのお願いって何かな」
「えっと、魔法がうまくなりますようにとか美味しいケーキが食べれますようにとか……きりがないや」
私は指折りで数えながらそう言った。アルルはそれを見て「ふふっ」って笑った。
「え、おかしかったかな」
「違うよ。ななしがあまりにも真剣にお願い事してたらなんかなごんじゃって」
「なにそれ。そういうアルルの願い事は何」
「ボクはね……いろいろあるけど真っ先に思いついたのはこれかな」
アルルは少し悩んだように手を頭に当てる。そして私の方を振り向いた。
「ななしとずーっと一緒にいられますようにかな」
「アルル……!うれしい!」
「うわあ、ななし。苦しいよ〜」
私は思わずアルルに抱き着いた。アルルははにかみながら私に笑顔を返してくれた。
それを見たカーバンクルが「ぐー」と鳴いた。
アルルの願いが叶えばいいのにな。
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